父・横山典弘騎手の三男にあたる横山武史騎手の評価が急上昇中だ。
先週の弥生賞(G2)では、4番人気タイトルホルダーで勝利。絶妙のペース配分で逃走劇を演じて、圧倒的1番人気(単勝1.3倍)に支持されたダノンザキッドを完封。単勝1,790円の高配当を演出した。
同時にリーディング1位独走中のC.ルメール騎手のシュネルマイスターを2着に封じ込めるなど、まさにレースを支配する好騎乗をみせた横山武騎手。
先月の共同通信杯(G3)でも、4番人気エフフォーリアで勝利。同馬に騎乗する噂もあったルメール騎手が自嘲気味に「(あの馬が)ダービーホースですよ」とコメントしたことから、わずかデビュー5年目の“若武者”は、トップジョッキーにとって意識せざるを得ない存在に成長したといえるだろう。
デビュー5年目を迎えた今年のクラシックトライアルで好騎乗を連発する横山武騎手に、競馬サークルもいち早く反応。4月11日の桜花賞(G1)に出走予定のアカイトリノムスメの騎乗も決定した。
同馬の主戦・戸崎圭太騎手は、3月末のドバイ国際競走へ参戦予定。帰国後2週間は自主隔離期間に入り、桜花賞の週は騎乗できないことが濃厚なことから、横山武騎手の「代打騎乗」が決定した。同騎手は前出の弥生賞でも、奇しくも戸崎騎手の「代打騎乗」で結果を出した経緯がある。
才能豊かなホープ・横山武騎手を紹介することに対して「なにをいまさら」という競馬ファンもいるだろう。ありきたりな紹介ではつまらない……と過去の戦績を探ると、武史騎手の「代打騎乗」について、興味深いデータを発見することができた。
デビューした2017年は13勝、翌18年は35勝と、着実に勝ち星を増やしてきた。
19年は騎乗数727回に対して54勝も、翌20年は前年とほぼ同じ騎乗数728回で94勝を挙げるなど、勝率は大幅アップ。年間100勝に手が届くところまできた若武者のターニングポイントは2020年だったのではないだろうか。
2020年の横山武騎手の乗替わりに関するデータを調べると、意外な発見があった。
同騎手に乗替わる「代打騎乗」で、最も好成績を残しているパターンが、同じ関東圏で活躍する三浦皇成騎手からの乗替わり。着別度数[6-4-1-15/26]で、勝率23.1%、連対率38.5%、複勝率42.3%と、どの騎手からの乗替わりよりも、三浦騎手からの「代打騎乗」で、最も優れた成績を残したことが判明した。
昨年の三浦騎手は、1月の落馬負傷で長期離脱。その影響もあって、横山武騎手へと馬が回ってきたのだろう。こうしたチャンスをしっかりとモノにする点が、彼の非凡なところ。関東の騎手で主役を張る日も近いと予感させるデータだ。
また横山武騎手は、一流ジョッキーからの「代打騎乗」でも、その馬質に報いる好結果を残している。昨年の武豊騎手からの乗替わりは[4-1-0-3/8]で、勝率は驚異の50.0%、連対率・複勝率ともに62.5%と抜群の成績。またC.ルメール騎手からの乗替わりは[3-3-3-18/37]で、勝率11.1%、連対率22.2%、複勝率33.3%。3勝すべて、前走ルメール騎手で2着以下に沈んだ馬ばかりだった。
そして昨年の父・横山典騎手からの乗替わりは[3-2-0-13/18]で、勝率16.7%、連対率・複勝率ともに3割近い27.8%と、こちらも及第点の成績を残した。
1986年にデビューした父・横山典騎手は、3年目の88年に初重賞制覇を果たしている。一方の横山武騎手は、デビュー4年目となる昨年のフローラS(G2)で重賞初制覇。この辺りは1年違いであり、父子の差はないと言っても良いだろう。
しかし父は、デビュー5年目の1990年のエリザベス女王杯を制してG1初制覇。ちなみに騎乗したキョウエイタップは、柴田善臣騎手からの乗替わりだった。さらに、1997年秋にタイキシャトルとのコンビでマイルCS(G1)を制覇。これは当時の主戦・岡部幸雄騎手が、シンコウキングとのコンビでマイルCSに出走するための「代打騎乗」で結果を残した格好となった。
果たして、息子の横山武騎手にとっても、桜花賞(G1)での「代打騎乗」が大きな転機となるか。勝利すれば父と同じデビュー5年目での初G1制覇となる。偉大なる父と肩を並べることができるか。2021年のクラシックロードに騎乗する注目の若手から目が離せない。