ホールデビューするや、常軌を逸した怒濤のごときビッグの連チャンで、たちまちトップクラスの人気機種となった『コンチネンタル』。
各攻略情報誌はこぞって、連チャンを生み出す要因を究明しようと躍起になるが、登場から半年ほどが経過した頃、意外なことから真相が明らかになった。攻略法の発覚である。
実は自分は、雑誌にそのことが掲載される以前に、『コンチネンタル』に攻略法があることを知った。
時は1991年春、東京に拠点を移して間もない頃のことである。
当時、バンドのメンバーに紹介されて、生活の糧を得るために掃除屋のバイトをしていた。深夜、閉店後のパチンコ店を専門とする掃除屋である。
ふだん客の立場では見ることのないパチンコ店の裏側を垣間見ることができる。仕事はキツかったが、パチンコ・パチスロを趣味とする者にとっては、願ってもない適職だった。
その日の現場は、東京ドームにほど近い水道橋の予備校街の小さな店。作業を終えて道具を片付けていると店長さんが現れ、タバコを一服しながら苦々しい顔でこうつぶやいた。
「いや~、参ったよ。そこに『コンチネンタル』って台があるだろ。アレにプロが出ちゃってさぁ」
「プロが出る」とは他でもなく「攻略法が出た」という意味。手を止め、店長に事情を訊いてみた。
「それが簡単なんだよ。メダルを3枚入れて、レバーを叩いてすぐにメダルを追加するんだ。で、下皿に戻らず飲み込まれたら、セブンが当たっちゃうんだよ」
にわかには信じがたい話だったが、店長さんが本当に困っていたのは攻略法そのものではなく、その対策によって生じた弊害だった。
「すぐにメーカー呼んで、コインセレクタを交換してもらったんだよ。そしたらさぁ、ちっとも連チャンしなくなったんだよ。お客さんからは『どうなってんだ。ぜんぜん出ねーぞ』って文句言われるし、ほんと参ったよ…」
なんとなく連チャンの原因がわかったような気がしたが、この時点での自分の興味は完全に攻略法にロックオン。
「まだできる店があるかも知れないから、試してみなよ」
そんな店長さんの言葉を信じ、その夜は興奮して寝付くこともできぬまま朝を迎え、さっそく近くの設置店へと向かった。しかし、何軒まわっても期待どおりの結果を得るには至らなかった。
攻略法対策によって連チャン性を失ってしまったことの証か。熱気に溢れていたはずの『コンチ』のシマは、どの店も見事に客がブッ飛んで閑古鳥が鳴いていた。
攻略情報誌に「事の真相」が掲載されたのは、それから1ヶ月ほどが経った頃のことである。
『コンチネンタル』の連チャンを生み出す要因は、特異なプログラムと初期のコインセレクタに取り付けられていたパーツにあった。
どのパチスロ機でも、役判定プログラムには投入枚数をチェックする項目があるのだが、どういうわけかこの機種の場合、現実にはありえない「投入枚数が4枚」の場合、100%の確率でビッグが成立するというプログラムになっていたのである。
そして、その現実には起こりえないはずの「4枚目のコイン投入」を電子的に発生させていたのが、コインセレクタに仕込まれた「CS-90」というパーツなのである。
このCS-90の中には小さな回路が入っていて、その中のプログラムで何らかの抽選を行い、条件をクリアした場合に「4枚目のコイン投入」の信号をメイン基板に送ることで連チャンを発生させていた、というわけである。
前述の攻略法ができたのは、単純に初期のコインセレクタに不具合があったため。レバーを叩いた直後の特定のタイミングでコインを追加投入して飲み込まれれば、CS-90が信号を発信した時と同様に「4枚目のコイン投入」となり、100%ビッグ成立となったのだ。
ともかく、攻略法を封じるためにCS-90を装着したコインセレクタは交換され、それとともに連チャン性をも失ってしまった『コンチネンタル』だったが、騒動が一段落してしばらくすると、RAMに裏プログラムを書き込む「注射」という手法で連チャン性が復活。遠退いていた客足も戻り、「キングオブ爆裂連チャン機」の威厳を取り戻したのであった。
そして、「打倒コンチ」を掲げる新勢力も続々と現れ、パチスロ界に未曾有の爆裂連チャン機ブームが巻き起こるのであった。
(文=アニマルかつみ)