JRAは27日、日本グレード格付管理委員会による承認を受けて、東京スポーツ杯2歳S(G3、以下東スポ杯)のG2昇格申請が承認されたと発表した。なお、同じく審査の対象とされていた葵Sについては、G3格付け申請が承認されなかった。
東京競馬場の芝1800m条件で開催される東スポ杯は、名馬の登竜門的な位置づけにある出世レースの一つ。近年でも優勝馬から19年コントレイルが無敗で三冠を制覇し、昨年のダノンザキッドがホープフルS(G1)を制した。これまで多くのG1馬を輩出しているように、ハイレベルなメンバーが争うレースとしても知られている。
前述2頭以外にも過去10年で出走馬からはディープブリランテ、ワンアンドオンリー、ワグネリアンがダービー馬の栄冠を手に入れ、ジャスタウェイ、イスラボニータ、サトノクラウン、スワーヴリチャードは後にG1を優勝している。
では、格付けとしてはG3に過ぎない東スポ杯が、なぜここまで競馬の最高峰といわれるレースでの好走に結びついているのか。
「やはり東京コースで行われる重賞だからでしょうね。時代が変わったといわれても、今も昔も競馬関係者の大目標はダービーであることに変わりはありません。ダービーに始まりダービーに終わるといわれるだけに、同じコースを経験できるメリットが大きいです。
”府中の1800展開いらず”という格言もあるように、紛れが少なく強い馬が能力を発揮しやすいコースでもあります。そのため、各馬の関係者がエース級の馬を送り込むことが多く、それが結果的にハイレベルなレースとなっているのでしょう」(競馬記者)
ただでさえ、実力馬が集まりやすい背景のあるレースということもあり、G2に昇格となる今後はその傾向に拍車がかかるのは間違いない。
その一方で、逆に存在意義が薄れてしまう可能性が考えられるのが、マイルで行われる朝日杯FS(G1)やホープフルS(G1)ではないか。
短距離寄りの前者との棲み分けはある程度される可能性があるものの、中山の芝2000mで開催される後者については、大きな影響が避けられない。コントレイルやダノンザキッドが東スポ杯をステップにホープフルSを使ったのは確かだが、それはG1だからという事情もあるだろう。
だが、両レースには中山と東京という最大の違いがある。ホープフルSの条件である中山の芝2000mは皐月賞と同じとはいえ、有馬記念(G1)ではなくジャパンC(G1)を引退レースに選んだ昨年のアーモンドアイのように、トリッキーなコースとして敬遠されるケースも少なくない。
「皐月賞馬よりもダービー馬が評価される伝統は、今に始まったことではありません。
6月の初週から2歳の新馬戦が開始されるようになり、有力馬のデビューも以前より早くなりつつあります。夏前に勝ち上がって秋に賞金を加算、厳寒期に入る12月の開催で無理はさせたくないという各陣営の本音もあります。
東スポ杯がG2に昇格したなら朝日杯やホープフルSに出さない陣営も出て来るでしょう」(同記者)
また、振り返ってみるとホープフルSのG1昇格にも賛否両論の声があったことも見逃せない。
2017年からG1昇格した同レースだが、それまでは阪神・芝2000mでの開催。2014年から阪神・芝1600m条件に変更された朝日杯FSは中山・芝1600mでの開催だった。
しかし、マイル戦であるG1よりクラシックに直結しやすい中距離のラジオたんぱ杯(G3・ホープフルSの前身)に出走した馬が、朝日杯出走馬より活躍することも多く、レースレベルの逆転現象が発生していた。
このような経緯もあったことが、ホープフルSのG1昇格へ繋がった可能性として高いとはいえ、結果として距離は同じのまま競馬場のみが変更となっている。グレードが上がったことはともかく、コースは中山でなくともそのままでよかったのではないかという声も出た。
そして今回、中山よりもダービーに直結する東京コースで開催される東スポ杯のG2昇格。それとともに中山離れがさらに加速し、実力馬が東スポ杯後にホープフルSを使わない傾向すら出て来るようなら、最優秀2歳牡馬の形骸化も懸念されるようになるのではないだろうか。