朝ドラ『エール』中村蒼の弟を演じる泉澤祐希は『ひよっこ』では有村架純の幼なじみ・三男

 先週、福島を舞台に、すさんだ少年時代を過ごした村野鉄男の家族の物語、古山裕一の弟・浩二の恋物語が紡がれたNHKの連続テレビ小説『エール』。2つの感動に包まれた11月9日(月)~13日(金)の放送を振り返りたい。

村野鉄男が生き別れの弟と再会

 昭和26年、日本は復興期に入り、古山華(古川琴音)は看護学生になり、古山裕一(窪田正孝)は相変わらず作曲仕事に追われていた。そんな中、村野鉄男(中村蒼)に映画の主題歌の作詞依頼が来る。テーマは家族の絆。鉄男は返事を保留にして、関内智彦(奥野瑛太)のラーメン屋へ行った。

 そこに居合わせた池田二郎(北村有起哉)と2人で、智彦・関内吟(松井玲奈)・ケン(松大航也)の親子喧嘩を温かく見守った。智彦と吟は、ケンを正式な養子に迎えていたのだ。

 店内に自分の書いた曲が流れ、池田に褒められると謙遜する鉄男。「裕一は何でも書くし、質も高い。それに比べて自分はまだまだ。自分の中にあるものしか書けない」と吐露した。さらに、複雑な家族だったため、家族がテーマの曲が書けないと言うと、池田は「作詞家には想像力という味方がある」と励ました。

 コロンブスレコードの杉山あかね(加弥乃)から、鉄男が仕事を断ったと聞いた裕一は、後日、鉄男に母校の福島信夫小学校から依頼された校歌づくりを手伝ってほしいと頼んだ。

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 曲が完成し、お披露目会のために福島へ戻った2人。鉄男にお披露目会後の講演依頼が舞い込んできた。その日の夜、古山家で母のまさ(菊池桃子)と弟の浩二(佐久本宝)と食卓を囲んだ後、2人で話をする中で、鉄男の弟の話になった。

 鉄男の弟は典男といい、仲のいい兄弟だった。しかし、家族で夜逃げした後、弟が突然家出したという。結局、弟は見つからず、鉄男も「ここを出ていけ」と母親に言われ、藤堂先生(森山直太朗)を頼った。

 父親の暴力から弟を守れず、母親を見捨てたと後悔する鉄男を、裕一は「誰よりも強くて優しい奴だ」と慰めた。

 翌日、校歌のお披露目会の後、鉄男は子どもの頃を振り返りながら話をした。家の事情で卒業できず、家族と離れ離れになり、自分の境遇を恨んだこともあったけど、この小学校で出会った人たちが支えてくれた。人との縁を大切にして、人生を切り開いていってほしいと語った。

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 お披露目会が終わると、明男(竹内一加)少年は自宅の三上理容所に帰り、講演会の話をした。それを聞いた明男の父は、話をした人物が鉄男だと知ると、古山家を訪ねた。明男の父は、鉄男の生き別れた弟の三上典男(泉澤祐希)だったのだ。

 まさかの再会を果たした兄弟。鉄男は、典男が優しい夫婦のもとで育ち、家庭を持っていると知って安心した。そして、鉄男と典男が、母親を見捨てたことが心残りだと言うと、まさは「子どもが立派に育ってやりたいことをやってることが、何よりの幸せ」だと励ました。その日の夜、古山家に典男の家族も呼び、賑やかな夕食を楽しんだ。

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 鉄男は東京に帰ると映画の主題歌の依頼を再び引き受け、その後も家族をテーマにしたヒット曲を次々に生み出した。

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 一方の裕一は福島で作曲の依頼を受け、当分帰らないと連絡すると、古山音(二階堂ふみ)が福島へやって来た。その日、古山家は浩二のお見合い話で盛り上がった。

 実は、畠山林檎園の一人娘のまき子(志田未来)に気持ちを寄せていた浩二。まき子が就職で東京に行くと知り、落ち込んでいたが、思い切ってお見合いを引き受けることにした。

 ちょうどその頃、まき子が浩二を訪ねてきた。まき子に誘われて、裕一と音は畠山林檎園の見学に行くことに。浩二の様子を見て、まき子に恋をしていると確信した音。その夜、浩二からまき子が東京へ行くという話を聞いた。

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 翌朝、浩二が畠山林檎園に行くと、まき子と父親(マキタスポーツ)が言い合いをしていた。なんと、父はまき子に相談せず、勝手に東京行きを早めてしまったのだ。浩二は以前と同じように東京行きを応援すると伝えるが、まき子はその場から逃げてしまった。

 その日の夜、畠山林檎園での出来事を裕一と音に話すと、音から「まき子さんは東京に行きたくないんじゃないか」「浩二も行ってほしくないんじゃないか」と問いかけられ、浩二は混乱。「やらずに後悔するより、やって後悔した方がいい!」と喝を入れられた浩二は、翌朝、急いで畠山林檎園に向かい、まき子にプロポーズ。まさの許しも得て畠山家に婿入りし、畠山林檎園の跡取りとなった。

典男を演じる泉澤祐希は『ひよっこ』の三男

 先週、突然現れた鉄男の弟の典男。「どこかで見たことのある顔だ」と思った人も多いだろう。それもそのはず。実は、典男を演じる泉澤祐希は2017年の朝ドラ『ひよっこ』で、有村架純が演じたヒロイン・谷田部みね子の幼なじみの角谷三男役を演じていたのだ。

 前作では、みね子とともに東京に出稼ぎに行き、安部米店に就職する。店主と一人娘の板挟みになり苦労を重ねるが、結果的にその娘と結婚して婿養子になるなど、なかなか波乱万丈な人生を送っていた。

 波乱万丈なのは、今作の『エール』でも同じ。しかし、家出先の盛岡でいい夫婦に出会い、最終的には一般的な家庭にも恵まれ、大好きだった兄とも再会でき、鉄男が講演会で話していたように「人との縁を大切にして、人生を切り開いて」いる。

 演じ手の泉澤は5歳で子役デビューを飾っているため、芸歴は20年を超えるベテランだ。『アンナチュラル』『わたし、定時で帰ります。』(ともにTBS系)、『浦安鉄筋家族』(テレビ東京系)といった人気ドラマや『マスカレード・ホテル』『今日から俺は!!劇場版』といった人気映画にも出演している。

『エール』も残すところ、あと2週。裕一と音が奏でるストーリーを最後まで見届けよう。

(文=安倍川モチ子/フリーライター)