コントレイルによる史上3頭目の無敗三冠が懸かる菊花賞(G1)を25日に控えた今週、最も注目を集めているホースマンは、間違いなく主戦・福永祐一騎手だろう。
「さっきまではいつもと変わらない感じでしたが、今、記者の皆さんに囲まれて高揚感が出てきました」
21日、菊花賞の共同会見に挑んだ福永騎手。シンボリルドルフ、ディープインパクトといった競走馬の「頂点」に並ぶ大偉業の達成は、この名手の手綱に託されているが「それでもプレッシャーはまだ感じていません」と、まさに泰然自若といった様子。
歴史的な瞬間を前にここまで平常心でいられるのも、今年デビュー25年目を迎える福永騎手の「経験」の賜物だろう。発言の節々からは不安や緊張よりも、むしろ自信に満ち溢れている様子が窺える。
ちなみに1984年のグレード制導入以降、三冠を達成したのは前述のシンボリルドルフ、ディープインパクトに加え、ナリタブライアン、オルフェーヴルの4頭。逆に春二冠を達成し、菊花賞に出走しながらも涙を飲んだ馬もミホノブルボン(2着)、ネオユニヴァース(3着)、メイショウサムソン(4着)と3頭いる。
まさに三冠達成か否かを分かつ境界といえるが、実はそれらの鞍上のキャリアに「明確な差」があったことは、あまり知られていない。
下記は、グレード制導入以降の三冠馬と、主戦騎手が「その馬で皐月賞を勝つまで」のG1勝ち数である(JRA開催のみ)。
1984年 シンボリルドルフ 岡部幸雄 8勝※G1級競走(NHK杯、高松宮杯除く)。
1994年 ナリタブライアン 南井克己 8勝(ナリタブライアン朝日杯3歳S除く)
2005年 ディープインパクト 武豊 46勝
2011年 オルフェーヴル 池添謙一 11勝
上記の通り、過去に三冠を達成した岡部幸雄、南井克己、武豊、池添謙一は大偉業を達成する以前に、すでにJRAで数々のG1を勝利。プレッシャーのかかる大舞台で何度も勝利した経験があった。
一方、実は菊花賞で敗れたミホノブルボン(小島貞博)、ネオユニヴァース(M.デムーロ)、メイショウサムソン(石橋守)の3者では……。
一方、実は菊花賞で敗れたミホノブルボン(小島貞博)、ネオユニヴァース(M.デムーロ)、メイショウサムソン(石橋守)の3者では、小島騎手がミホノブルボンで朝日杯3歳S(現FS)の1勝のみ。デムーロ騎手はイタリアで数々の大レースを制した経験があったが、大観衆が見守る日本でのG1勝利はネオユニヴァースの皐月賞が初勝利だった。
「以前、デムーロ騎手が『日本とイタリアの競馬環境はまったく違う』というようなことを話していた通り、日本の競馬はイタリアよりも数段レベルが高く、両国の競馬における環境は人気やスケールで大きな隔たりがあります。
今でこそ数々のG1レースを勝利しているデムーロ騎手ですが、当時は短期免許の期限が切れている中で、JRAの特別な配慮によって菊花賞参戦が実現。決して、悪い騎乗ではなかったと思いますが、相当なプレッシャーがあったとは思いますね」(競馬記者)
無論、ミホノブルボンやネオユニヴァース、メイショウサムソンが菊花賞で敗れたのは騎手だけのせいではないことは明らかだ。しかし、昔から「長距離戦は騎手の腕」と言われるほど、3000mは騎手の経験がモノを言う舞台。
ここまで極端に明暗が分かれていることからも、決して無関係とは言えなさそうだ。
ちなみにコントレイルの鞍上・福永騎手を上記に当てはめてみると「24勝」(京都開催JBCクラシック含む)という武豊に次ぐ結果を残している。データ上は三冠ジョッキーの資格十分といえるだろう。
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