11月1日に東京競馬場で行われる天皇賞・秋(G1)の出走メンバーが、いよいよ固まりつつある。
現在登録を予定しているのは、史上初の芝G1・8冠が懸かるアーモンドアイら以下の12頭。例年、大きな盛り上がりを見せる秋の中距離王決定戦としては、やや寂しい頭数に落ち着きそうだ。
第162回天皇賞・秋(G1)登録予定馬
※()内は騎乗予定騎手
アーモンドアイ(C.ルメール)
ウインブライト(松岡正海)
カデナ(未定)
キセキ(武豊)
クロノジェネシス(北村友一)
ジナンボー(M.デムーロ)
スカーレットカラー(岩田康誠)
ダイワキャグニー(内田博幸)
ダノンキングリー(戸崎圭太)
ダノンプレミアム(川田将雅)
フィエールマン(福永祐一)
ブラストワンピース(池添謙一)
今年の注目は、何といっても芝G1・8勝目が懸かるアーモンドアイの存在だろう。ここを勝てばディープインパクトやキタサンブラックといった歴代の名馬を超える前人未到の大記録となる。
一昨年に牝馬三冠を達成し、ジャパンC(G1)で強豪古馬を破ったことで年度代表馬に選出されるなど、一気に競馬界の頂点へ上り詰めたアーモンドアイ。昨年もドバイターフで海外G1初勝利、天皇賞・秋も勝ってG1通算6勝目と歴史的名馬の階段を順調に登っていた。
しかし、年末の有馬記念(G1)でまさかの9着。単勝1.5倍の支持を裏切ってしまうと共に、キャリア初の惨敗を喫した。この敗戦を機に、順風満帆だったキャリアに小さくはない影が差すこととなる。
2020年はアーモンドアイにとって、これまで苦難の年となっている。
有馬記念の惨敗を受けてピークアウトが囁かれる中、予定されていたドバイターフが新型コロナウイルスの影響によって中止に。
仕切り直しの一戦としてヴィクトリアマイル(G1)が選択されたが、芝G1最多勝のタイ記録が懸かる一戦で、比較的メンバーが楽な牝馬限定戦が選ばれたことは、一部メディアやファンの間で物議を醸すこととなった。
そのヴィクトリアマイルを4馬身差で圧勝し、“雑音”を封じたアーモンドアイだったが、続く安田記念(G1)では1つ下の女王グランアレグリアに完敗。大きく出遅れた昨年の安田記念、不完全燃焼だった有馬記念を除けば、まさに力負けという結果に、いよいよ「限界説」が囁かれつつあるのが現状だ。
そんな中で迎える天皇賞・秋は、アーモンドアイが芝G1・8勝を成し遂げる「ラストチャンスではないか」と見られている。
今年になって2つ下の3歳世代からは無敗の三冠を狙うコントレイル、デアリングタクトといった突出した大物が出現。1つ下のグランアレグリア、宝塚記念(G1)を圧勝したクロノジェネシスなどの次期女王も台頭し、競馬界の全体の新陳代謝が極めて活発になっているからだ。
「そこに拍車を掛けているのが、アーモンドアイが所属するノーザンファーム系ホースクラブによる“忖度”疑惑ですね。
春にアーモンドアイを正攻法で負かしたグランアレグリアが短距離路線に回った他、毎日王冠(G2)を圧勝した3歳馬のサリオス、昨年の皐月賞馬サートゥルナーリア、大阪杯(G1)を勝ったラッキーライラックなどの有力馬が揃って天皇賞・秋を回避。結果、登録予定が12頭という寂しいメンバーになりました。
それがまるでアーモンドアイの快挙達成の花道を飾っているようにも見えるので、ファンの間では早くも『8冠の価値』を疑う声が上がっています」(競馬記者)
とはいえ、天皇賞・秋に登録を予定している12頭はアーモンドアイを含む7頭がG1馬という豪華メンバー。ここを勝つことができれば、それなりの価値はありそうなものだが……。
「G1馬7頭といえば聞こえはいいですが、キセキやダノンプレミアムは、すでにピークを過ぎている感が否めませんしウインブライト、フィエールマン、ブラストワンピースといったところは『次』を見据えており、秋初戦のここは叩き台になる可能性が高いと言わざるを得ません。
唯一、期待が持てそうなクロノジェネシスは、高速馬場が予想される天皇賞・秋には不安が残りますし、時計の掛かるレースでこそ真価を発揮できる馬。正直、出走馬の中にアーモンドアイを負かせそうな馬が見当たらないのが現状です」(別の記者)
いずれにせよ、今年の天皇賞・秋は名実ともにアーモンドアイが主役であり、圧倒的な人気を集めることが予想される。
もし、ここから1頭でも回避馬が出れば1980年以来の11頭立てという極めて寂しい頭数となってしまうが、近年の競馬界の顔役として活躍した女王だけに、様々な“雑音”を跳ね返すようなパフォーマンスを見せてほしいところだ。