“昨日の敵は今日の友”となるのは競馬の常だが、これは少々複雑なようだ。
この秋、牝馬三冠を目指すデアリングタクトが回避したことで、20日に中京競馬場で行われるローズS(G2)は、女王への挑戦権を懸けた戦いとなった。
そんな中、一際大きな注目を集めているのが「夏の上がり馬」として期待されるフアナ(牝3歳、栗東・角居勝彦厩舎)だ。
約4カ月ぶりとなった前走の1勝クラス(芝1800m)では、好位から上がり最速の末脚で勝利。最後は同じ3歳馬のカレンシュトラウスと叩き合いになったが、クビ差ねじ伏せて単勝1.5倍の人気に応えた。+28kgでの出走、3着以下に3馬身差をつけたレース内容は、格上挑戦となるローズSでも高い期待を抱かせる走りだった。
そして、そんな「新星」とコンビを組むのが、C.ルメール騎手。大レースに強いリーディングジョッキーが騎乗するとあって、期待度は増すばかりだ。
だが、その新コンビ結成を巡って一部の関係者やファンから「戸惑いの声」が噴出しているようだ。
「今年5月、オークス出走を懸けてフローラS(G2)に出走したフアナですが、結果は3着。勝ったウインマリリンとは0.1秒差だけに出走権確保にあと一歩、届きませんでした。
実はその最大の敗因が、最後の直線で隣を走っていたルメール騎手(スカイグルーヴ)のムチがフアナを掠めてしまったことと言われています。今回、そんな“曰く付き”の相手と新コンビを組むわけですから、フアナに注目している人からすれば複雑でしょうね……」(競馬記者)
今年1月の新馬戦で武豊騎乗の6億円馬アドマイヤビルゴがデビュー戦を勝利し、大きな注目を集めた。しかし、そんな超良血馬を最後まで追い詰めたのが、出遅れながらも上がり最速の末脚で3/4馬身差まで迫ったフアナだ。
その後、フアナは3月の未勝利戦を完勝すると、1勝馬ながらオークス出走を目指してフローラSに格上挑戦。最後の直線で1番人気のスカイグルーヴに馬体を併せに行ったが、その際にルメール騎手の右ムチが当たりそうになったことで大きくバランスを崩している。
結局、勝ち馬とはクビ+クビ差の3着と、惜しくも優先出走権を逃す形になったフアナ。勝ったウインマリリンが、本番のオークスでデアリングタクトと半馬身差の2着だっただけに、もし本馬が出走していれば女王をさらに際どく追い詰めていたかもしれない。
「ルメール騎手のムチが当たった、そうでないかは微妙なところですが、大きくヨレたフアナがその影響を受けていた可能性は非常に高い。ルメール騎手の方も、アクシデント直後に一瞬、フアナの方に目をやって、申し訳なさそうにスカイグルーヴを追う手を止めたままゴール……まともに(ムチが)入っていれば、戒告や騎乗停止もあったかもしれません」(別の記者)
9日に栗東のCウッドで行われた1週前追い切りでは、ルメール騎手が騎乗。余力残しの内容だったが、陣営は「何とか、いい形で秋華賞に向かえれば」と出走権確保に力が入っている。
因縁の新コンビとして注目が集まっているフアナ。ルメール騎手としては、今度こそ本番出走を実現させ、“春のお詫び”をきっちりしておきたいところだ。