パチンコ・パチスロは多くの人々を魅了してやまない娯楽です。
私は一パチンコファン、そして元ホール店員として人生の殆どをパチンコに捧げてきた訳ですが、これまで色々な人を目の当たりにしてきました。
無論、健全な遊技を楽しむお客様がほとんどでした。ただ中には、遊技態度が悪い方や良からぬ事を考えている不届き者も少なからずいたのです。ホールでの揉め事は絶えず起きております。私が勤めていたホールにも、悪さをして「出入り禁止」となったお客様は数多く存在しておりました。
人によって「出入り禁止」となる経緯は様々です。トイレの予備ペーパーを根こそぎ奪って持ち帰る方。お酒に酔った状態で店員に暴力を振るう方など、常識からかけ離れた行動をとる方々が入店お断りとなるのです。
ただ、これらの行為が可愛く見えてしまう極悪人も中には存在します。
パチンコ店に関連する「許されぬ行為」といえば、何を連想するでしょうか。
女性スタッフに対するストーカー行為。貴重品の置き引き。ゴト行為など、色々な内容があると思います。こういった事が起きた際は、警察に捜査協力を求める事になります。被害の拡大を防止するために、「要注意人物」に関する情報を系列店舗や近隣店舗と共有するケースもあるのです。
私がホール店員だった頃も、他店舗から様々な情報が流れてきました。その内容は「ゴト集団が周辺地域で荒稼ぎ」「傷害事件の容疑者が来店する可能性あり」などの身の毛がよだつものばかりでした。
無論、警察の迅速な対応と事前に身構える事ができた背景もあったので、そういった不届き者が実際に自身のホールに来店する事はなかったのですが…。
数年前のある日のことです。近隣の系列店舗にアジア系外国人の男女二人組が現れ、スロットコーナーで別積みしているお客様をターゲットにした「出玉泥棒」が現れたとの報告がありました。
話によると、この二人組によって近隣店舗のほとんどが出玉泥棒の被害にあっているとの事。まさに力業の荒稼ぎをはたらいているらしく、いつ私の店に来てもおかしくない状況だったのです。
情報が流れてから3日後。未だに二人組は捕まっておらず、スタッフ全員が警戒してホールを巡回しておりました。私も「うちの店では絶対に悪さはさせない!」と意気込みながら業務を行っていたのです。
そして稼働がピークを迎えるゴールデンタイム。スロットコーナー担当のスタッフから「例の二人組が現れました!」との報告があったのです。
ホールを食い物とする「大泥棒」の出現にざわめき出すスタッフ達。私はすかさずスロットコーナーの人員を厚くし、捕縛要員として屈強な男性スタッフ2名を監視役として配備させました。
遊技する台を探しているフリをして、ターゲットの的を絞る二人組。はたからみたら他のお客様と変わらず、不自然な様子はありませんでした。
二人組はすぐに犯行をせず、ホールを徘徊しては台に座りちょっとだけ打つ。という行動をしばらく続けておりました。スタッフの監視を気にして、なかなか尻尾を見せない状況となっていたのかもしれません。
「露骨に監視したら怪しまれる」と考えた私は監視役をスロットコーナーから遠ざけて、二人組の様子を店内カメラで追いかける作戦に切り替えました。
どれだけ鮮やかに出玉を奪ったとしても、ジェットカウンターでメダルを流す際にスタッフを呼ばなくてはいけません。カメラで決定的瞬間を押さえさえすればこっちのものです。
30分ほど経ったでしょうか。監視を緩めた事が功を奏したのか分かりませんが、行動を共にしていた二人組は唐突に別行動をとり始めました。女性が単身で別積みに向かって歩み寄っていったのです。
ターゲットを決めたのでしょう。女性は隣の台を遊技するか悩んでいるフリをして後ろに積まれているドル箱の視界を遮りました。それを島端の反対側で確認した男性がすかさず近寄り、流れるような手つきでドル箱を奪っていったのです。
私は急いで「犯行現場を確認!ジェットカウンターで捕まえてください!」と現場スタッフへ指示しました。
二人組は「ワタシ、ニホンゴワカラナイ」と繰り返すばかりで話になりませんでしたが、結果として極悪行為を未然に防げたので心から安堵したのを覚えております。
ホールの平和を守ったという達成感に満たされたエピソードでございました。みなさんにはこのような事はしないで、健全なパチンコライフを楽しんでいただきたいと思います。
(文=ミリオン銀次)