人気ユーチューバーの水溜りボンドが、10月3日の土曜夜10時からテレビ神奈川(tvk)で地上波初のレギュラー冠番組をスタートさせるという。このように、今やユーチューバーがテレビ各局のバラエティ番組や情報番組に次々と進出している。
さらに、とんねるず・石橋貴明がユーチューバーとしても人気を得たことで、テレビに“逆輸入”される流れも起きた。ネットがテレビを凌駕し、淘汰する時代がついに到来したのだろうか。
テレビ界を席巻する人気ユーチューバー
水溜りボンドが始める番組名は『水溜りボンドの○○行くってよ』。内容は“定番”の街ブラ番組とのことで、神奈川県内のさまざまな街を訪ねて人と触れ合い、グルメや絶景を堪能するという。どんな仕上がりになっているのか、楽しみだ。
ユーチューバーによる冠番組は地上波では異例のことだが、今やユーチューバーがゲスト出演するケースは珍しくなくなった。
9月1日の『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)には、登録者数185万人を数えるユーチューバーのまあたそが初登場した。「岡山が生んだ奇跡の不細工」を自称し、その卓越したメイクテクニックで美人に生まれ変わるという彼女だが、バツイチで4歳の子どもがいることを突然告白。明石家さんまを驚かせていた。
8月3日には、チャンネル登録者数 645万人を誇る7人組ユーチューバー・フィッシャーズのうち、ダーマ以外の6人が『ネプリーグ』(フジテレビ系)に出演。原田泰造とチームを組み、見事に優勝した。7月25日の『メレンゲの気持ち』(日本テレビ系)には、フィッシャーズのシルクロード、マサイ、ンダホの3人が登場。ンダホの妻からの暴露アンケートが読み上げられ、彼と結婚しようと思った一番のポイントが明かされていた。
「また、ヴァンゆんが『サンデー・ジャポン』(TBS系)にコメンテーターとして何度も登場しているように、ユーチューバーは情報ワイドショーにも進出。彼らは『痛快TVスカッとジャパン』(フジテレビ系)のショートドラマにも出ていました。連ドラでは、7月30日に放送された『警視庁・捜査一課長2020』(テレビ朝日系)に、登録者95万人以上の人気ユーチューバー・ねおがゲスト出演しています」(芸能ライター)
ユーチューバーのテレビ出演が加速している理由
これまでテレビに露出していたユーチューバーといえば、HIKAKIN、はじめしゃちょーあたりだったが、なぜ今、進出が加速しているのだろうか。それには、このコロナ禍が関係しているという。
「テレビ関係者の多くがリモートワークを余儀なくされ、今まで以上にネットとの接触時間が増加。自ずと、ユーチューブを見る機会も増えました。また、テレビで活躍してきた多くの芸能人がユーチューバーとして活動するようになったことも大きい。こうした単純接触によって、今まで勝手にテレビは『別物』と区分けしてきたユーチューバーを起用する機運が高まったといえるでしょう」(テレビ局関係者)
さらにもうひとつ、ユーチューバーを取り込む契機となったのが、視聴率の指標の変化だ。
「4月から全国すべての地区で個人視聴率が毎日計測されるようになり、これまで重視されてきた世帯視聴率より、個人視聴率をいかに獲得するかが番組存続の鍵になりました。そこで、スポンサーが視聴を歓迎する若年層にアプローチするために、若者に人気のユーチューバーを積極的に取り込もうという狙いも透けて見えます。実際、数値でその反響がわかれば、局側はスポンサーからの信頼をさらに勝ち得ることになりますし、たとえ実測でわからなくても“若者を意識した番組づくりをしていますよ”というアピールになるのです」(同)
石橋貴明が20年ぶりNHK生出演、江頭がCM出演
また、テレビで活躍の場を失った芸人がユーチューバーとしての活動を経て、テレビに戻ってくる“逆流”傾向も見られるという。たとえば、とんねるずの石橋貴明だ。
ユーチューブチャンネル『貴ちゃんねるず』の登録者数は、現在125万人。その中で『サンデースポーツ2020』(NHK)のパロディーである『貴ちゃんスポーツ2020』という企画を配信していたところ、本家の目にとまり、8月30日に『サンデー』に生出演したのは記憶に新しいところだ。石橋がNHKに生出演するのは、実に20年ぶりということで話題となった。
「今回NHKが打診した背景には、石橋はプロ野球選手らと個人的に交流があり、コロナ禍で難しくなってしまったダイレクトな取材もできるという事情もあるかと思いますが、これを契機に“石橋を再び地上波でも見てみたい”という空気が高まるのではないでしょうか」(同)
さらに象徴的なのが、江頭2:50のCM出演だ。芸歴30年を誇るだけに、これまでCMに出ていないわけではなかったが、最近はテレビが過激なことを自粛する傾向が強まるにつれて、CMからも遠ざかっていた。
しかし、7月からは、会員数1000万人を突破している人気ブラウザゲーム「ビビッドアーミー」のCMに出ているのだ。この起用は、江頭が開設している『エガちゃんねる EGA-CHANNEL』の人気が後押ししたとみていいだろう。
ヒカルの出演が“潰された”テレビの闇
一方で、テレビ局がいまだに前近代的な考えにとらわれていることがわかる出来事もある。
ファッション通販サイト「LOCONDO(ロコンド)」の田中裕輔社長が、積極的にコラボしている人気ユーチューバー・ヒカルをメインにした特番の構想を進めていたところ、その実現が暗礁に乗り上げてしまったと発言したことだ。
「これは、ヒカルの過去の言動にテレビ局側が尻込みしたからだと言われています。さらに不可解なことに、田中社長が単体で出るバラエティ番組の計画も頓挫してしまったそうです。真相はわかりませんが、何かに遠慮したり忖度したりするテレビ界の後ろ暗い体質が、一刻も早く変わることを切に望みます」(同)
田中社長は、自身のユーチューブ動画の中で「ユーチューブをがんばればがんばるほどテレビが遠のいてる」と語っていたが、ネットとテレビの間には、まだ見えない垣根も存在しているようだ。
(文=編集部)