「勝っても負けても10万コースはアタリマエの超荒波マシン!!」
当時、攻略情報誌の『アニマル』を詳解する記事には、きまってそんな派手なキャッチコピーが踊っていた。
いまのマシンに例えると、『ミリオンゴッド~神々の凱旋~』か。とても気軽に手を出せる相手ではなかったのである。
そんな『アニマル』と初めて対峙したのは、平成元年の秋。大阪梅田に知人のライヴを観に行った時のことである。
終演後、打ち上げの宴まで少し時間が空いたので、阪急梅田駅の高架下にある「かっぱ横町」をフラついていた。
呑み屋が軒を連ねる中にパチンコ店が一軒あった。ハネモノやデジパチを何度か打ったことがあるが、まぁこういったロケーションにある店だ。クギもシブく、あまりいい思いをした記憶がなかった。
案の定、この日もハネモノを弾いてみるもダメダメで、「そういえば、パチスロは何があるんだっけ?」と、鰻の寝床のような店内を奥へ奥へと歩を進めた。そこには、ワインレッドの『アニマル』がずらりと鎮座していた。
「これが、あのアニマルか…」
気軽に手を出してはいけない。そう思いつつも、「千円だけ、打ってみよう」と空き台に腰を下ろした。
その時点では、前回書いた内部システムについては何も知らなかった。いま思えば、ずいぶんと無謀なことをしてしまったわけだが、あろうことかその千円で見事に777を引き当ててしまったのだから、これはもう何かの巡り合わせと言うほかないだろう。
ちなみにこの店は「BIG2回で交換」というルールだったのだが、REGが早いゲームで何度か連チャンしたあと、すぐに2回目のBIGが当り、900枚ほど交換した。
「ひょっとしたら、まだ連チャンするかも」
集合時間が迫っていたが、後ろ髪を引かれる思いで再度チャレンジすると、案の定すぐに当り。BIGを2回引く間にREGが7発だか8発も連チャンして、こんどは千数百枚を獲得する。
「アニマル、凄いやん!!」
それまで、漠然と「怖いマシン」と思って避けていたが、いきなり初打ちで噂に違わぬ凄まじい連チャン性を体験し、たちまち虜になってしまった自分は、帰宅後に本棚にある攻略情報誌のアニマルの記事を片っ端から読み返した。
すると、解析情報に特化した一冊の分厚い本の中に、例の内部システムのことが詳しく書かれていたのである。
「なるほど。ボーナス直後の台とか、ある程度ハマった台は狙い目ってことか」
そんな風に思った自分はさっそく、例のかっぱ横町の店や、その他の繁華街で人の出入りの激しい店に赴き、ハイエナ戦略に打って出ることにした。
前にも書いたが、当時の大阪は「BIG○回で交換」というルールの店が多く、「交換して即やめしてしまう客もいるだろう」と考えたのである。
だが、結果は芳しくなかった。すでに『アニマル』の連チャン性については多くの客の知るところであり、ボーナス直後の空き台に巡り会うことなど、まずもってなかったのだ。
では、ハマリ台のハイエナはどうだったかと言うと、これもまた前回書いたとおり、ハマってしまうと本当に底なしなので、ヘタに手を出すとミイラ取りがミイラになるようなものだった。
一筋縄ではいかない、強敵『アニマル』。しかし、打てば打つほどにその唯一無二のゲーム性、独自の内部システムが生み出すドラマチックな荒波に、自分はどんどんハマってゆくのであった。
(文=アニマルかつみ)