無類のパチンコ好きで、元ホール店員のミリオン銀次でございます。
よく遊びに行くパチンコ店において、スタッフの顔を自然と覚える事はよくあると思います。
スーパーや飲食店に行った際に、プライベートの時間を過ごすスタッフの姿を目撃した経験がある方もいるでしょう。
私がホール店員だった頃は、勤め先のホールと目と鼻の先に住んでおりました。そのため買い物や食事に出掛けた際に、常連様とバッタリ出くわす機会は非常に多かったのです。
中には、「店員と客」という立場が逆転する事によって「思わぬ事態を招いてしまう」なんて事もございます。今回は私がプライベートで遭遇したお客様とのエピソードについてお話しましょう。
【居酒屋のご主人が出玉を要求!?】
仕事で疲れ果てた時やストレスが溜まった際、お酒の力に頼ってしまう事は少なくありません。ある日、私は上司からのネチネチとした精神攻撃を受けてボロボロの状態でした。
普段は自宅でしっぽりと酒を飲む程度ですが、この時ばかりは「飲まなきゃやってられん!」とムシャクシャしておりました。たらふく酒を飲もうと仕事終わりに近くの居酒屋へ向かったのです。
初めて行く小ぢんまりとしたお店。入店すると「いらっしゃい!」という元気な掛け声を放つ中年男性が私を温かく出迎えてくれたのです。そして私の顔を見て「あれ、○○の店員さんじゃないですか!」と言ってきました。
居酒屋のご主人はホールによく来てくださる常連様だったのです。店員とお客の立場が逆転した状況に最初は戸惑いましたが…。
その時の私は、そんな事を気にしている余裕はありませんでした。「今日は浴びるように飲もう」と意気込んでいたのです。
私の場合、つまみはタコわさがあれば十分なので、1品以外は生ビールをひたすら頼んでいたのですが…。
ご主人はビールを1杯持ってくるたびに焼き鳥や刺身などを付け加えてテーブルに置いてきました。困惑した私は「あの、これ頼んでないんですが」と尋ねると「サービスだから遠慮しないで!」と気前よく言ってきたのです。
お酒を飲む際は、そんなに食べられない体質なので正直困りました。しかし、ホールの常連様のご厚意を無下にできないので、「ありがとうございます」と言って残さず口にしたのです。
しかしご厚意とはいえ、「これだけサービス」をしてもらうのは気が引けるものです。これではストレス発散にならないと思って長居せずに切り上げようとしたその時でした。
神妙な面持ちのご主人が私の元へやってきて「とんでもない一言」を耳打ちしてきたのです。
「こんだけサービスしたんだから、遠隔操作で自分の台を出してくれ」。
私は耳を疑いました。ホールで「遠隔操作だ」と騒ぎだすお客様は数多く目にしてきましたが、まさかご主人がその一人だとは思っていなかったのです。しかも「サービスしたから出せ」なんて…。正気の沙汰とは思えません。
私は「ご主人も冗談が上手ですね」とお茶を濁してその場を切り抜けようとしましたが、「冗談でこんなにサービスする訳ないでしょう」と大真面目な口調で返してきたのでした。
「本気で言っているのか」と動揺を隠せませんでした。お酒が入っているので気の利いた言葉で場を切り抜ける事もできず、私はありのままの事実をご主人へ伝えたのです。
「遠隔なんてシステムはありません」「私ができる事はご主人が勝てるように応援する事くらいです」。
すると「座ってすぐ当たる台があるけど、あれはどう説明するんだ」「特定の客がいつも出てるじゃないか」と私の言葉を信じる気配など微塵も感じさせない返事が返ってきたのでした。
遠隔操作を信じているお客様を対応した事は数えきれないほどありますが、考えを改めてもらう事が難しいというのが現実です。私が出来る事は「ご主人を意図的に勝たせる事はできない」という事実をお伝えするしかありません。
最後まで納得のいかない様子だったので「私からは頑張ってくださいとしか言えません」と言い残し、結局、サービスで頂いたおつまみの代金も支払って退店せざるを得なかったのです…。
仕事のみならず、プライベートでもストレスを溜める結果となった散々なエピソードでございました。
(文=ミリオン銀次)