パチンコ店「あわや乱闘」へ発展の「迷惑行為」!? 「しまった…」と後悔するも「まさかの結末」が…

 十人十色という言葉がございますが、パチンコ店にいらっしゃるお客様も実に様々です。

 差し入れを持ってくる方や、世間話が大好きな方、お店に対して毎日のように文句を言ってくる方など。ホール店員にとって、個性的なお客様の印象は強く残る事でしょう。

 私が勤めていたホールでも、スタッフの誰もが知っている個性的な常連様がおりました。その方は頻繁に忘れ物をする事で有名だったのです。

 これまで忘れた物は数知れず。ドリンクやスマホは当然のように置いて帰り、中には財布や家の鍵ですら台に忘れて帰る事もあったほど。見かねた我々は、このお客様が退店される際に「お忘れ物はないですか?」と念を押すのがお決まりのパターンとなっておりました。

 このように、忘れ物をされるお客様の場合は、ただの不注意なので気を付けていただきたい程度にしか思いませんが…。

 中には遊技台に「意図的に何かを残していく」お客様もいらっしゃり、その場合は対応の仕方も異なります。

 パチスロを打っている際に、天井を目前にして軍資金が尽きてしまいお金を下ろしに行く。そのような経験をした事はみなさんも少なからずあるのではないでしょうか。その際に台の下皿へ、タバコやライターなどを置いて席を離れるかと思います。

 そのような場合は直ぐに席へ戻るので問題はありません。ただ、台に物を残して二度と戻って来ない方は、その台を打ちたいお客様にとって非常な迷惑となるのです。

 私が勤めていたホールには、来店するたびに必ず台に物を残して席を立つ困ったお客様がおりました。

 他の台に移動する際には、上皿に100玉程度の玉を残してそのまま放置。機嫌が悪い時は大量のゴミを上皿に置きっぱなしにする事もあったほどです。おそらく、打っていた台を他の人に打たれたくなかったのでしょうか。スタッフが回収しようとすると「勝手に持っていくな!」と怒鳴り散らす迷惑な方でした。

 夕方にスーツ姿で来店されていたので仕事帰りのサラリーマンだとは思うのですが、スタッフの間では「よほどのストレスを抱えながら仕事をしているのかも」などというウワサが飛び交っておりました。

 そのような行為はその後も続き、更には日に日にエスカレートしていってしまったのです。「あの人がいると楽しく打てない」「掛け持ちみたいな行為辞めさせて」など、他のお客様からのクレームが後を絶たない事態へと発展してしまいました。

 無論、これまでも注意はしてきたのですが、お客様の逆鱗に触れないようにソフトに接していた為、大して効果がなかったと言わざるを得ません。さすがにこれ以上は見過ごすわけにもいかないので、意を決した私は常連様に注意しました。

「他のお客様のご迷惑となりますので、掛け持ちと捉えられるような行為はおやめ下さい」。

 案の定、お客様は「そんなの知ったこっちゃないわ!さっさと失せろ!」と私の言葉に聞く耳を持ちません。すかさず私は「こちらのお願いを聞けないようでしたら、入店をお断りさせていただく場合もございます」と警告したのです。

 すると「なんだ?店員の分際であんまり舐めた事言ってるんじゃねえぞ」と煽ってきました。この言葉にカチンと来てしまった私は、「舐めてるのはあなたの方でしょう。社会人ならもっと常識のある行動をすると思いますけどね!」と言ってしまったのです。

 つい感情的になって声を荒げてしまったため、お客様は更に声を荒げて「なんなんだこの店は!言われなくても二度と来るか!」と怒鳴りながら椅子に豪快な蹴りを入れて店から出ていったのでした。

「しまった…」と後悔しましたが後の祭りです。このお客様が来店する事はありませんでした。正直「もう来ることはないだろうな」と思ったのですが…。

 それから数日経ったある日、お客様はいつものスーツ姿でひょっこりと現れ、遊技台には目もくれず私の元へと歩み寄ってきたのです。突然の来店に驚き「やばい、殴られるかも」などという不安が頭をよぎりました。

 しかし、お客様の表情は実に穏やかで「この前はごめんね。自分が悪かったよ」と思いもよらぬ言葉を投げかけてくださったのです。

 私自身、感情的になって接客をした事に負い目を感じていたので「こちらの方こそ失礼な事を言って申し訳ありませんでした」と深々と頭を下げ、和解することができたのでした。

 それからというもの、このお客様は先述した行為を一切しなくなったので結果的にはよかったのかもしれません。

 無論、他のお客様に迷惑を掛ける方でしたので、私の対応は間違っていなかったと思います。しかし、毎日のように来店していた常連様を一人失ってしまう可能性があったのも事実です。

 店長からは「もう少し上手く対応できなかったのか?」「接客する側が感情的になったらいけない」と注意をされてしまいました。

 色んな接客業を経験してきましたが、ホール店員が行う接客は特に難しいと身をもって体験したエピソードでした。

(文=ミリオン銀次)