アニメ映画『この世界の片隅に』が8月9日にNHKで放送される。同作は、『夕凪の街 桜の国』などで知られるこうの史代の同名漫画の原作を片渕須直監督が映像化したもので、第40回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞、第21回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞、フランス・アヌシー国際アニメーション映画祭の長編部門審査員賞を受賞するなど、国際的に高い評価を受けている。
「2016年11月に公開されて以降、口コミなどで評判が広がり、徐々に上映館が拡大。アニメ映画で史上最長となるロングラン記録を樹立しています。もともと上映時間が2時間を超える長めの作品でしたが、19年12月には、さらにシーンを追加した長尺版の『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が公開されるなど、根強い人気を獲得しています。また、クラウドファンディングで3000人を超えるサポーターから4000万円近い資金を集めるという制作手法でも注目されました」(芸能ライター)
同作は昭和20年の広島・呉を舞台に、絵を描くことが好きでおっとりとした主人公・すず役をのんが担当しており、彼女の声優としての才能が脚光を浴びた。また、すずの夫・周作役を細谷佳正、周作の父・円太郎役を牛山茂、すずの妹・すみ役を潘めぐみ、径子役を尾身美詞、径子の娘・晴美役を稲葉菜月、すずの小学校の同級生・哲役を小野大輔、遊郭で働くリン役を岩井七世が演じている。
「同作でアニメ映画初主演を飾ったのんは、戦争に翻弄されながらも朗らかさを失わないすずのイメージにピッタリで、映画公開当初から『ハマり役』『のん以外、考えられない』とSNSで称賛の声が続出するなど、彼女の表現者としての才能が改めて注目されるきっかけとなりました。
のんといえば、13年放送の朝ドラ『あまちゃん』(NHK)で大ブレイク後、前所属事務所のレプロエンタテインメントとの間で独立騒動が勃発し、一時は休業状態に。本名でもある『能年玲奈』が芸能活動で使えなくなったため、16年夏からは『のん』に改名した上で独立、女優に加えて『創作あーちすと』の肩書で復帰を果たしています。
泥沼化してしまったレプロとの騒動では、のんに対して同情する声が多く上がりました。そのため、復帰後も彼女を応援する気運は高く、それから間もないタイミングで『この世界の片隅に』が公開されたことで、称賛の声が相次いだという背景があります」(同)
『この世界の片隅に』は19年8月にもNHKで放送されており、地上波テレビで流れるのは2回目となる。また、放送後の8月13日には、NHKで特集番組『#あちこちのすずさん~教えてください あなたの戦争~』が放送され、アニメパートでは、のん、細谷、尾美がナレーションで出演する。
「NHKでは、Eテレで放送中の『100分de名著<モモ>』でも、のんを朗読に起用しています。一方、民放ではほとんど姿を見ることはできませんから、ネット上では『NHKは忖度なしでがんばってほしい』『これだけの才能を埋もれさせるのは理解できない』といった声も上がっています」(同)
のんは独立後、ネットドラマには出演しているものの、テレビドラマへの出演はかなっていない。そんな現実について、マネージメントに携わるスピーディの福田淳代表が19年7月に「あまりにも異常ではないでしょうか?」「このような古い体質を変えていかなければなりません」とネット上に投稿して話題になったこともある。
また、同氏は19年7月の「BuzzFeed News」のインタビューで「(テレビドラマの)オファーはめちゃくちゃあります」「ところが何週間か経つと『なかったことにしてください』と連絡がある」と明かしており、のんについて「天才だと思っています」とも語っている。
のんは現在公開中の岩井俊二監督の映画『8日で死んだ怪獣の12日の物語』に斎藤工らとともに出演しているが、再びテレビドラマで姿を見られるのはいつになるのだろうか。
(文=編集部)