元ホール店員のミリオン銀次でございます。
私はこれまで、ホール店員だった当時の思い出深いエピソードをみなさまへご紹介させていただいておりました。その中には、不良客による迷惑行為やトラブルなどもあったかと思います。
ホールで起こり得るトラブルの要因。それはお客様の「悪意」によって生み出される事がほとんどですが、時に「悪意がない」お客様が思わぬトラブルを巻き起こしてしまうケースもあるのです。
今回は、とあるお客様が招いた「救急車の要請」すら視野に入れた印象深いエピソードをご紹介させていただきます。
私がホール店員だった頃、毎日のように来店されていた若い男性がいらっしゃいました。大学生のような若々しいノリで、お友達と共に楽しそうに遊技されていたのです。
ただ、盛り上がるあまりオーバーリアクションをしてしまい、周りのお客様のご迷惑となってしまう事もしばしば。ですが、注意すれば「すみません!はしゃぎすぎました!」と素直に反省して遊技態度を改めるので、特に問題のあるお客様ではなかったのですが…。
このお客様が、後にホールスタッフ全員を「震え上がらせるトラブル」を招くなど、この時は知る由もありませんでした。
あれは2年前の秋頃のことです。その日、私は早番で開店時間を待つお客様へ入場整理券を配っておりました。そこには例の若いお客様の姿があり、心なしかいつもの明るい表情にも陰りが見え、体調が悪そうでしたが「朝が弱いのかな」程度の印象しかなかったのですが…。
開店時間を迎えてから2時間ほどが経過した時、ホールを巡回していた私の目の前には驚きの光景が映し出されたのです。
驚いた事に、朝一から来店されていた若いお客様がパチンコ台の上皿部分に顔を突っ伏して、遊技できずにぐったりしているではありませんか。
私は慌ててお客様の元へ駆け寄り「大丈夫ですか」と声を掛けました。すると「ううう…」と反応はするものの、明らかにおかしい様子でした。
心配する私に対し、「ちょっと休憩したら良くなりますから…」と細々とした声でお客様がおっしゃったので、ひとまずレストコーナーで休んでいただくように促しました。頷いたお客様の体を支えながらレストコーナーへ案内したのです。
お客様の様子を見守っていた他のスタッフも、「大丈夫に見えないよね」「フラフラだった」と不安と心配を隠せない様子でした。ホール責任者も、万が一に備えて監視カメラでお客様の様子を伺っていたのです。
しかし、それから状況が一変しました。10分くらい経った頃でしょうか、ホール責任者から「お客様が微動だにしないので大至急確認してください!」とインカムが入ったのです。ホールリーダーだった私は全速力でレストコーナーへ向かいました。
そこには椅子の肘掛けに腕を乗せて顔をうずめ、ピクリとも動かないお客様の姿があったのです。「大丈夫ですか」と何度声を掛けても返事はなく、意識を失っているとしか思えない様子…。
私は経験したことのない状況に動揺しながら「大変です!お客様が動きません!」と報告を入れました。「分かった!直ぐに救急車を呼ぶから君はそのまま付き添っていなさい!」とホール責任者は慌てた様子で言ったのです。
「とんでもない事になった…」私は天を仰ぎました。動揺を隠しきれなかった私ができる事といえば、救急車が来るまでの間お客様の無事をひたすら祈るくらいしかなく、どうする事もできなかったのです。
しかし、次の瞬間!
「グググ…ゴゴゴ…」とお客様の口から妙な音が発せられたのです。
「なんだ!?」と私は驚きながらお客様を観察しました。次の瞬間、お客様は背もたれに寄りかかり「グガー、グガー」と勢いよく音を出したのです。
一瞬何が起こっているか分かりませんでしたが、お客様の口から出している音は紛れもなく「イビキ」でした。よく見ると、なんとも気持ちよさそうな顔をして寝ているではありませんか。
私は「すみません!寝ているだけでした!救急車は必要ありません」と慌ててホール責任者へ報告したのです。すると「念の為、起こして安否を確認してください」と指示されたので、私は気の引ける思いでお客様を起こしました。
私の呼びかけに気づいたお客様は、目を半開きにしながら「ごめんなさい…寝ちゃってました」と蚊の鳴くような声で応答したのです。「もしかして、単純に眠かっただけだったんですか?」と私は伺いました。
すると、「そうなんですよ…昨日の夜にオールで麻雀やっちゃって、そのまま寝ないでパチンコ打ってたんです」との事。私は呆れて何も言えませんでした。しかし、何はともあれ大事に至らない結果となって一安心したのです。
私も麻雀は大好きですし、パチンコを嗜む方の中には、麻雀が好きな方も多いと思います。中には、このお客様のようにオールで麻雀した後で、ホールへ向かうという経験をした方もいるのではないでしょうか。
ただ、何事もほどほどが一番です。寝る間を惜しんでしまっては、娯楽も楽しめませんし、第一に体を壊してしまいます。やはり、節度を持って楽しむほうがいいかもしれませんね。
(文=ミリオン銀次)