7日、東京競馬場で行われる安田記念(G1)。今年は史上最多となる芝G1・8勝目を狙うアーモンドアイを筆頭にG1馬10頭が集う歴史的な豪華メンバーとなった。
だが、ハイレベルなライバルが多ければ多いほど、マークが薄れるのが「逃げ馬」である。
実際に、過去5年の安田記念でハナに立ってレースの主導権を握った馬は3度も連対している。当たり前だが、道中で先頭に立つ馬は1年に1頭。つまり5頭中3頭が馬券に絡んでいるということだ。前が止まりにくい、この時期の東京コースの“恩恵”に最大限活かせるのは、紛れもなく逃げ馬だろう。
「スタートを決めて、ハナに行きたいね――」
そんな中、今年も「逃げ宣言」が飛び出した。一発を狙うのは昨年の高松宮記念(G1)を制したスプリント王ミスターメロディ(牡5歳、栗東・藤原英昭厩舎)だ。
もしかしたらG1馬10頭の中で、最も注目されていないかもしれない。しかし、人気がないことは逃げ馬にとってアドバンテージでしかないことは、競馬ファンなら誰もが知るところだろう。
「入った枠もいいですね。6枠10番は、ここ10年で3勝の好枠。今年はこれといった逃げ馬がいませんし、内にいる先行馬の動向を見ながら、すんなりハナに立てれば面白い存在になりそうです。
京王杯スプリングC(G2)で逃げたダノンスマッシュが大外枠に入ったのも、楽に逃げたいミスターメロディにとっては追い風。藤原調教師も『楽に行かせてもらえれば、開ける道はある』と意気込んでいましたよ」(競馬記者)
ミスターメロディにとって、高松宮記念と同じワンターンの左回りはベストの条件。実際に昨秋には、陣営が左回りを求めてダートのJBCスプリント(G1)に出走させたほどのサウスポーだ。
それでも人気薄に留まっている最も大きな要因は、主戦場が1400m以下でマイル実績がほぼないことに尽きるだろう。
「ただ、それこそが逆にミスターメロディにとってはプラス材料になるかも。人気薄の逃げ馬が残る最大の理由は、追走するライバルたちに『どうせ、止まるんでしょ?』と可愛がってもらえることですから。
ただミスターメロディの場合、最後にマイル戦を走ったのは2年前のNHKマイルC(G1)。それも後方15番手にいたケイアイノーテックが1着、12番手のレッドヴェイロンが3着、15番手のプリモシーンが5着する中、2番手から粘り込んで0.2秒差の4着でした。
これだけを見てもミスターメロディは『ただマイルを走ってないだけ』で、能力的にはこなしても不思議ではないですよ」(同)
さらに“天”までミスターメロディに味方するかもしれない。気象庁の週間天気予報によると、週末は雨模様。安田記念が行われる東京では土日とも降水確率60%と、それなりに雨が降りそうだ。
「ミスターメロディ自身は、芝の稍重で阪神C(G2)2着があるだけですが、芝の右回りに限定すれば唯一の好走歴。父スキャットダディの産駒は全体的に雨巧者ですし、ミスターメロディにとって雨は歓迎材料でしょう。
昨年11月以来の休み明けになりますが、もともとドバイに出走するつもりだった馬。追い切りはかなり動いていますし、いきなりの大駆けも期待できるかもしれません」(別の記者)
昨年の高松宮記念以来、勝利から遠ざかっているだけに、この超豪華メンバーでは見劣りしてしまうかもしれないミスターメロディ。しかし、競馬は馬の強さだけでなく、展開や馬場コンディション、天気などで結果が大きく左右する。
「走り慣れたこの条件に替わるのはプラス」
陣営がそう力強く話す通り、左回りのワンターンなら重賞2勝に加え、掲示板(5着以内)を外したことがない安定感。“舐められ過ぎた”スプリント王に激走の気配が漂っている。