先日のヴィクトリアマイル(G1)を圧勝し、ディープインパクトら歴代の名馬と並ぶ芝G1・7勝に到達したアーモンドアイ(牝5歳、美浦・国枝栄厩舎)。
まだ5歳春ということからも、これまで数々の歴史的名馬が阻まれてきた新記録「芝G1・8勝目」へ、前途は洋々といえるだろう。
そんなアーモンドアイだが、次走が来月7日の安田記念(G1)になる可能性が高まっている。ヴィクトリアマイルのレース後、主戦のC.ルメール騎手が希望したことを発端に、国枝調教師も「可能性としてはあるだろうね」とコメント。
すでにルメール騎手が騎乗見込みだったグランアレグリアの陣営が、引き続き池添謙一騎手とのコンビ継続を発表しており、参戦はほぼ決定的な状況となっている。
今年の安田記念には、昨年の春秋マイル王インディチャンプや、香港マイル(G1)でG1・3勝目を上げたアドマイヤマーズなど、牝馬限定戦だったヴィクトリアマイルよりもメンバー強化は必至だ。だが、それでも同じ東京マイルで圧巻のレースを見せたアーモンドアイの優位は動かない。致命的な不利を受け3着に終わった昨年に続く、大本命としてレースを迎えることが濃厚だ。
しかしその一方でアーモンドアイの「芝G1・8勝目」という、前人未到の大記録更新を不安視する声もあるようだ。
「新記録達成に前途洋々に見えるアーモンドアイですが、この春の内に決めておかないと、一気にハードルが上がる可能性があります。
というのも今年の3歳クラシックには、共に無敗でクラシック第1戦を制した牡馬コントレイル、牝馬デアリングタクトという抜けた存在がいます。この2頭は秋も王道を歩むでしょうし、必然的にアーモンドアイと戦うことが濃厚です。
特にコントレイルは、以前から距離の不安が囁かれており、秋は3000mの菊花賞よりも2000mの天皇賞・秋に進む可能性が高いと言われています。もちろん現段階で、コントレイルがアーモンドアイより強いと言うつもりはありませんが、秋G1の3歳馬の斤量アドバンテージは決して小さくないですからね」(競馬記者)
過去に「芝G1・8勝目」の記録に最も迫ったのが、2000年に古馬王道G1完全制覇となるグランドスラムを達成し「世紀末覇王」と称されたテイエムオペラオーだ。
翌2001年、アーモンドアイと同じように5歳春でG1・7勝目に到達したテイエムオペラオー。しかし、新記録が懸かった秋の天皇賞・秋では、ダートから芝に矛先を替えた「世紀のオールラウンダー」アグネスデジタルの前に2着……。
続くジャパンC(G1)、有馬記念(G1)では3歳馬のジャングルポケット、マンハッタンカフェに世代交代を突き付けられ、あと一歩のところで現役を終えている。
「振り返ってみれば、リーチを掛けた天皇賞・春直後の宝塚記念(G1)で、最大のライバルだったメイショウドトウに、初の敗戦を喫したのが致命傷となりました。コントレイルやデアリングタクトは、かつてのジャングルポケットや、マンハッタンカフェと同じく伸びしろ十分の3歳馬。アーモンドアイがテイエムオペラオーの二の舞にならなければいいんですが……。
また、あまり大きな声では言えませんが、コントレイルやデアリングタクトはノーザンファーム生産馬ではないため、お得意の“使い分け”というわけにもいきません。そういった意味でも、アーモンドアイにとって安田記念は落とせない一戦になりそうです」(同)
また現在は新型コロナウイルスの影響で、海外遠征があまり現実的とは言えない状況だ。その分、国内のG1が例年以上の豪華メンバーで盛り上がっているが、記録更新を狙うアーモンドアイにとっては“逆風”でしかない。
今週から始まるオークス、日本ダービー、安田記念のG1・3連戦は、新記録を狙うアーモンドアイにとっても非常に大きな意味を持ちそうだ。