ジャニーズ、医療物資寄付で「粗悪品の可能性ある」「SNS投稿禁止」の注意事項…困惑の声も

 ジャニーズ事務所は社会貢献活動(CSR)「Smile Up! Project」の一環として、新型コロナウイルス感染症に対処している全国の医療従事者に、マスクやガウンなどを届ける計画を進めている。ジャニーズ事務所 は4月18日に防護服3万3000着、医療用マスク30万枚、抗菌マスク20万枚を調達し、必要な医療機関に届けると発表。ジャニーズ公式ホームページなどによると、加えて医療用ガウン5万着と三層マスク23万枚を中国の生産工場から新たに調達したという。医療物資の支援総額は3億3000万円となる。政府が全国民に配布を予定している布製マスクの計画と比較し、インターネット上ではジャニーズ事務所を賞賛する声が上がっている。

「Smile Up! Projectより粗悪なマスクが届いた」という投稿は禁止

 一方で、支援物資の提供にあたってジャニーズ事務所は少し気になる条件を医療機関に約束させているようだ。ジャニーズが今月2日、ホームページ上で公開した「医療物資の提供を受けるための注意事項」を引用する。

「【Smile Up! Project】医療物資の申し込みに関する注意事項

【マスク・防護服の品質に関して】

医療物資の調達に際して、製造元の確認、物質の写真及び証明書を参考資料に医療官憲 者の方々にもご協力を賜りながら最大限の配慮をもって医療物資の品質を確認しております。一方で、切迫する医療現場の状況、日々、目の当たりにしているため、スピードも同様に重視しながら物資の選定を行っていることから、一部、粗悪品が紛れている可能性がございますことを何卒ご了承いただきたく存じます。(中略)万が一、ご提供した物資を使用し、問題が発生しましても弊社は責任をとりかねますので、ご理解、ご了承の程、お願い申し上げます。

(中略)

【その他】

Smile Up! Projectより支給させていただいた医療物資(品名・品番・品質など)について、SNS及び各種メディア等を通じてその情報を拡散することは物資の製造元及び販売元をはじめとする関係者の皆様にご迷惑をおかけすることにつながりますので差し控えていただきますよう、お願い申し上げます。

例)

・Smile Up! Projectより粗悪なマスクが届いた

・Smile Up! Projectより届いた○○の防護服は不良品だった

こちらに関しては、医療機関としてだけでなく、貴院で医療に従事されている方々個人の投稿も控えいただきたく存じますのでご理解、ご協力の程、お願い申し上げます。

必ず、医療物資管理責任者の方にも本注意事項に同意いただき、許可を得てお申し込みくださいますよう、お願い申し上げます。

以上でございます。

上記の内容にご承諾いただけましたら下記同意をお選びいただき、お申込みください」

医療従事者「政府配布の布製マスクを強く意識している」

 スピード感のある配布が必要なことは間違いない。またメーカーが検品作業を行っていても不良品が混在することはどうしてもあり得る。だが、スピード感をもって生産することと、十分な検品を行わないことはイコールではない。一般的に製造業の現場では、「充分な検品」までを含めて「生産活動」といえるからだ。

 加えて、「万が一、ご提供した物資を使用し、問題が発生しましても弊社は責任をとりかねますので、ご理解、ご了承の程、お願い申し上げます」というのはどういうことなのか。無償支援物資だからといって衛生上、使用すると患者に何か問題が発生する可能性を否定できないものを送るというのはいかがなものか。

 また、政府の布製マスク配布で、不良品マスクの画像がインターネット上で大量に投稿された事例を踏まえた「SNSへの投稿禁止」を求める指示も気にかかる。

 実際、医療現場ではこうしたジャニーズの支援物資配布方針をどのように受け止めているのか。首都圏の総合病院に勤務する看護師は次のように話す。

「とてもありがたいです。ただ少し、上から目線が気になるというか……。SNSへの投稿禁止というのはどうなんでしょう。無償で寄付して頂いたものに対して上げ足をとったり、そんなことをするように思われているというのはちょっとショックです」

 大学病院の事務局に勤務する職員も次のように少しいぶかしむ。

「医療品によくある『但し書き』ではあるのですが『弊社は責任をとりかねます』というのは少し含みを感じてしまいます。また医療従事者の個人SNSでの投稿禁止の件も、政府配布の布製マスクがネット上で大炎上したことをよほど気にしているのかなと思ってしまいます。

 企業CSR一環なので当然、少しでも悪評が立っては意味がないのかもしれませんが、『寄付してあげたのだからごちゃごちゃ言うな。何かあったら病院が責任を持て』と言われているような気がします。

 そんなことを改めて言われなくても、最終的に患者さんと向き合っているのは我々なので、毎日責任をもって仕事にあたっています。芸能界も大変な状況の中、大きな予算を使って医療現場を気遣っていただき、とてもありがたいのですが少し腑に落ちません」

 善意の寄付という誰からも賞賛される行いをしているのに、ふとした瞬間に企業防衛への強いこだわりがにじみでてしまうのは、ジャニーズ事務所ならではなのだろうか。

(文=編集部)