羽根物「大量獲得機」のひとつの到達点である。
藤商事が2007年にリリースした羽根物『CRAサンダーバードウィングD』は自身が謳った「羽根物であって羽根物でない」という惹句が示すように、その出玉性能に大きな特長を持っていた。
その出玉力を支えるシステムが2つ。「サンダーチャンス」と「ドリームボーナス」である。
サンダーチャンスはいわゆる時短で、羽根開放が20回する間に電サポが発生し、大当りをしやすい状態となる。
また、サンダーチャンス中は羽根開放時間が通常時の3倍にアップするので、1回の羽根開放に対する大当り期待度も段違いに上昇するのである。
さらに、サンダーチャンス中に大当りすれば再びサンダーチャンスに突入するループ性も備わっており、連チャン性の高い今で言う「RUSH」のような状態が生み出される。ほぼ1/3で2R・6R・16Rが振り分けられるので、16R(約1300個)に偏った時の破壊力はすさまじいものがある。
この痺れるような連撃を体感すると本機にどっぷりハマることになるのだが、実は本機の2Rは実質1Rのほとんど出玉のない大当り(約90個)となっていて、こちらに偏ると地獄を見るハメになり、「見るのもイヤなクソ台」の称号を頂戴することになるのである。
私はといえば、天国から地獄に突き落とすパターンで、初打ち時に一撃一万発に迫るスコアを叩き出したために調子に乗って次の日も打ちにいったら、調整がガラっと変更され、なかなか大当りしないうえに、ようやくねじ込んだサンダーチャンスが5連続2Rで終了する憂き目に合い、昨日の勝ちをほとんど吐き出してしまうような結果となったのである。
それでも一勝一敗。雌雄を決す第三戦は、二回戦目をトレースするような内容で、まったくいいところなく所持金が尽きる寸前。ここで本機のもうひとつの出玉機能が炸裂したのである。
ドリームボーナス。これはスタート入賞時に抽選が行われる、いわゆる直撃大当りとなる。ただ、直撃大当りなら以前にもあったし、パチンコの種区分が撤廃されてからは羽根物に直撃大当りを搭載するのは特段珍しいことではない。むしろ当り前のようの通常装備されているような状況である。
しかし、本機の直撃大当りが他と一線を画すのは、右打ちによって液晶下にあるアタッカーで消化し、出玉約2000個を獲得できる点にある。しかも大当り終了後はサンダーチャンスに突入し、さらなる連チャン、出玉の上乗せを期待できるようなゲーム性になっている。
このドリームボーナスが持ち金ラスト500円の貸玉中に発生し、2000発と多少の連チャンでチャラ線まで回復させることに成功したのである。
こうなるともうデジパチである。大当り確率1/398.9で出玉約2000発+アルファ(サンダーチャンス)の台を、当るまでは羽根物で楽しむ。新しいジャンルのパチンコのような様相を呈していたのである。
まあ、展開的にそうなってしまったが、『CRAサンダーバードウィングD』は羽根物のゲーム性も面白く、「ピタゴラスイッチ」を想起させる広大なスペースを活かしたダイナミックな機構がプレイヤーの目を引き、町男的羽根物名機の条件「Vが左右に可動する」も組み込まれているのである。
ただ、羽根物にしては突出した出玉性能を保持しているためか、どの店も本機の調整は芳しいものではなく、その後は打つたびに負債を抱えるような状況となったので、それきりのお別れとなってしまった。
(文=大森町男)