7日、『2019年度 JRA賞』受賞馬選考委員会」が開催され、そこで記者投票の結果に基づき、年度代表馬、競走馬各部門の受賞馬を決定。その発表が行なわれた。
【年度代表馬】
リスグラシュー(栗東・矢作芳人厩舎)
投票者274名中271名の支持を得てリスグラシューが見事戴冠。宝塚記念(G1)、コックスプレート(豪G1)、そして有馬記念(G1)と国内外のG1競走3連勝を達成。さらに対抗として名が上がっていたアーモンドアイを、有馬記念で直接打ち負かしたことも決め手となったのだろう。
矢作調教師は「この様な栄誉ある賞をいただけて調教師として誇りに思いますし、リスグラシューに感謝しています。引退することとなり別れは寂しいですが、将来の彼女の子供たちに期待しています。今まで応援ありがとうございました。」と感謝の言葉を寄せた。
令和初となる年度代表馬となったリスグラシューは、同時に最優秀4歳以上牝馬にも選出。満票には3票足りなかったが、実に98.9%もの支持を得ている。
「JRA賞」となって以降、牝馬で6頭目の年度代表馬となったリスグラシューは、すでに繁殖入りが発表されている。これから誕生するだろう彼女の産駒の活躍を期待したい。
【最優秀2歳牡馬】
コントレイル(栗東・矢作芳人厩舎)
デビュー戦、東京スポーツ杯2歳S(G3)、ホープフルS(G1)と無傷の3連勝を飾ったコントレイルが受賞。朝日杯フューチュリティステークス(G1)を制したサリオスとの一騎打ちとなったが、暮れの大一番を圧勝した同馬に軍配が上がった。
リスグラシューに続き、コントレイルも選出された、矢作調教師は「クラシックに一番直結するレースだと思うホープフルSから初めて選ばれたという点がすごくうれしい」と頬を緩ませつつコメントした。
同世代では一歩抜けた存在となり、クラシックでの主役の一頭となったコントレイル。今後は、皐月賞(G1)を目標に調整が進められるという。
【最優秀2歳牝馬】
レシステンシア(栗東・松下武士厩舎)
レシステンシアはファンタジーS(G3)を勝利後、阪神JF(G1)へ。ここでは、前走までライバルを寄せ付けない走りを見せていたリアアメリア、ウーマンズハートの直接対決が注目を集めたものの、蓋を開けてみるとその2頭を抑え、逃げたレシステンシアが快勝。2着に5馬身差、従来のタイムを0秒4更新する1分32秒7のレコードタイムで優勝を飾った。
このパフォーマンスが評価され、見事に記者投票で満票の274票を獲得。松下調教師は「(デビュー前の)膝の骨折で乗りだすのが遅れましたが、よく間に合ってくれました」と苦労を乗り越えての受賞を喜んだ。今後は桜花賞(G1)を目指す予定。
【最優秀3歳牡馬】
サートゥルナーリア(栗東・角居勝彦厩舎)
混戦だったこの部門を制したのは、皐月賞馬サートゥルナーリア。日本ダービー(G1)では圧倒的1番人気ながら4着、天皇賞・秋(G1)でも2番人気で6着と、ここぞというときに馬券圏外に終わっていた。だが、有馬記念(G1)では2着と好走し、高い実力を持つことを知らしめた。
アドマイヤマーズはNHKマイル(G1)、香港マイル(G1)と国内外でふたつのG1競走を制したものの、17票差で2位に終わった。
【最優秀3歳牝馬】
グランアレグリア(美浦・藤沢和雄厩舎)
こちらも激戦だったが、桜花賞馬グランアレグリアが選出。春はNHKマイルC(G1)で1.5倍の1番人気だったが、4位入線も5着に降着。鞍上のC.ルメール騎手が騎乗停止になるなど波乱の連続だった。
さらに秋は目標としていたスプリンターズS(G1)を故障で回避。マイルチャンピオンS(G1)に照準を合わせるも、状態に物足りなさが残るとしてこちらもパス。今後に不安を抱かせた。だが、久しぶりの阪神カップ(G2)で2着に5馬身差をつけて圧勝。完全復活の狼煙をあげた。来年もマイル&スプリントを沸かせてもらいたい。
【最優秀4歳以上牡馬】
ウインブライト(美浦・畠山吉宏厩舎)
QE2世C(G1)を制したものの、昨年後半はオールカマー(G2)9着、天皇賞・秋8着と国内で不振が続いた。だが、暮れの香港C(G1)では見事に1番人気に応えて優勝を果たし、シャティン競馬場で無類の強さを発揮している。
今年は中山記念(G2)から始動し、同一レース3連覇を狙う。2020年は、国内G1競走でも活躍してもらいたいところだが……。
【最優秀短距離馬】
インディチャンプ(栗東、音無秀孝厩舎)
高松宮記念の勝ち馬ミスターメロディ、スプリンターズS覇者タワーオブロンドンを抑えてインディチャンプが選出された。安田記念、マイルCSと有力馬が揃ったマイルG1を連勝したことが評価されたようだ。
昨年最後の1戦香港マイル(G1)は7着に敗れたが、今年の巻き返しに期待が集まる。
【最優秀ダートホース】
クリソベリル(栗東、音無秀孝厩舎)
並み居る有力馬を押しのけて選出されたのがクリソベリル。今年はジャパンダートダービー(G1)を圧巻の内容で勝利すると、続く日本テレビ盃(G2)ではロンドンタウン、ノンコノユメら実績上位の古馬を一蹴してみせた。
そして迎えたチャンピオンズC(G1)ではインティ、ゴールドドリームとの3頭の追い比べを制して優勝。無傷の6連勝でG1競走2勝目をあげた。クリソベリルの連勝はどこまで伸びるのだろうか?
【最優秀障害馬】
シングンマイケル(美浦・高市圭二厩舎)
今年の東京ジャンプS(J.G3)で重賞初制覇を達成すると、勢いそのままに東京ハイジャンプ(J.G2)、中山大障害(J.G1)と、重賞3連勝を達成。これまで障害ではオジュウチョウサンが3年連続最優秀障害馬に輝くなど王朝を築き上げていた。シングンマイケルにはそれに匹敵する活躍を期待したい。