毎年大みそか恒例のテレビ番組『NHK 紅白歌合戦』が先月31日に放送され、平均視聴率は第1部が34.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、第2部が37.3%をマークし、それぞれ前年の37.7%、41.5%を下回った。第2部は、2部制となった1989年以降で最低となり、事実上の過去最低となった。“平成最後の『紅白』”となった前年(2018年)は第2部が40%という大台に乗り、改めて国民的番組としての存在感を示したが、“令和最初の『紅白』”はその数字に届かなかった。
今回は内村光良が3年連続となる総合司会を務め、白組司会の嵐・櫻井翔(2年連続)、紅組司会の綾瀬はるか(4年ぶり3度目)が脇を固め、安定した司会ぶりをみせた。例年通りステージ上ではさまざまなサプライズも披露され、なかでも黒いロック歌手のような衣装をまとい、空中を縦横無尽に動く巨大な金色の竜のゴンドラの上からアニメ映画『ドラゴンボール超』の主題歌『限界突破×サバイバー』をヘッドバンキングしながら熱唱した氷川きよしは、登場直後からインターネット上で
「ロッカーきよ子、素晴らしかった」(原文ママ、以下同)
「氷川君は、プロのエンターテイナーですね。期待を裏切りません」
「素晴らしかった、演歌歌手ってどんな歌うたっても変なくせが出ちゃうんですが全くそんなことなく本当に見事だった」
などと話題に。また、圧巻の歌唱力を披露したMISIAや、デビュー40年目で『紅白』初出場となった竹内まりやがしっとりと歌い上げた『いのちの歌』などにも絶賛が寄せられている。
番組全体への感想としては、
「official髭男dismよかった! 松任谷さんもよかった! 石川さゆりさんもよかった!」
「ウッチャンの司会は最高でした。ウッチャンの司会だから見たいとこの数年間見続けました。ウッチャン最高。たけしさんもたけしらしさが満載で素敵でした。ミーシャの歌声に心打たれ感動でした」
「こんなに見ごたえのある紅白歌合戦は、何年ぶりだろうか。でも、副音声の裏トーク中心に楽しんだ」
などと評価する意見もみられる一方、以下のように厳しい声も挙がっている。
「うーん、紅白歌合戦も末期かなぁ…」
「近年まれに見る演出のひどさで全くつまらなかった。去年盛り上がった武田さんの体操とかけん玉とか同じことをやり何の工夫もなく、つなぎも非常に悪く盛り上がったところが皆無だった」
「今の紅白はジャニーズが占拠している感じです」
「全体的にインパクトないし、演出グダグダだし、まあ、演歌少なくなったのはいいかな。紅白でわけるってのも時代遅れだね」
「あまりにも片寄った構成でつまらなかった」
「最近、放送時間が伸びたけど、歌と関係ない『コント』みたいな演出が多すぎるし、それが自局の番組の宣伝だとうんざりしてしまう」
「今回の紅白歌合戦は、三山ひろしさんの歌唱時の剣玉世界記録挑戦など、前回の紅白での企画をもう一回やるものが幾つもあって、『またやるの??』と何度も思ってしまいました」
ジャニーズ、白組の約4分の1
今回、視聴率が苦戦した理由について、テレビ局関係者は語る。
「毎年指摘されることですが、演歌歌手の次にジャニーズグループがきたりと、タイムテーブル的に上の世代に受ける歌手と若者受けする歌手がゴチャゴチャに混ざっていて、これでは視聴者が途中で離脱して他のチャンネルに流れてしまう。さらに『紅白』のメイン視聴者層である60代以上が知らない歌手だらけで、視聴率低下は当然でしょう。
また、前回は米津玄師の幻想的なステージや、サザンオールスターズとユーミン(=松任谷由実)が夢の共演を果たしたフィナーレなど、それなりに見所がいくつかありましたが、今回はこれといった盛り上がりどころもなく、全体的に低調なままで終わったという印象です」
別のテレビ局関係者はこう指摘する。
「ただでさえジャニーズグループは5枠も出て、白組全21枠のうち約4分の1も占めているのに加え、ジャニー喜多川氏の追悼企画コーナーではSixTONESとSnowManをはじめとするジャニーズJr.も大勢登場して長い尺を占有するなど、まさに“ジャニーズだらけ”。また、嵐は2枠も登場し、司会もメンバーの櫻井という“特別扱い”。もちろんジャニーズのファンが一定数存在することは確かですが、男性視聴者やメイン視聴者層の60代以上、そしてファン以外にしてみれば“うんざり”以外の何物でもありません。視聴率低下の原因は、あきらかにここにあります」
酷評浴びる松田聖子
このほかにも、「原因は松田聖子」と具体的な歌手名を指摘する声もある。松田はラストから3番目に登場してメドレーを披露したが、ネット上でも
「声に張りがないのに、メドレーは辛い」
「見るに耐えられなかったし…」
「いつまでもアイドルでいたいのだろうけど、あの高い声は出ず、声量も落ち、まるで別人が歌っているかのようだった」
「見ていて悲しくなった。その後が、MISIAだから余計に…。紅白はもういいんじゃないないかな 誰か言ってあげる人はいないのか?」
「聖子ちゃん、あんなにキー下げちゃったら聖子ちゃんの曲じゃなくなるよ」
「キャンディボイスと言われた彼女の、低いドスが効いた声にドン引きしてしまいました。毎年のことだけど60に近いんだからヒラヒラの痛いドレスはちょっと……」
「声量は落ちてるし、声は、声はどしたの。少しかすれ気味のかわいい声がよく伸びてたのに」
「頑張ってほしいという気持ちと、ちょっと痛々しくて『もういいのでは』という気持ちが半々です」
「劣化が激しい。声のトーンが下がっている」
と酷評する声が多数挙がっている。前出と別のテレビ局関係者が語る。
「番組がフィナーレに向かう場面で、ユーミン、氷川きよしと一気に盛り上がりをみせたところで、松田が登場し最悪のステージをみせ、すべてを台なしにしてしまいました。松田の歌唱途中で見るのをやめた視聴者が多く出た可能性もあり、松田の次のMISIAが素晴らしい歌声を披露し、最後は人気の高い嵐が大トリを務めただけに、松田がいなければもっと高い視聴率がとれたかもしれませんね。それにしても、なぜあそこでアンチの多い松田を投入したのか、まったく理解できません。明らかにNHKの人選ミスですよ」
今年の『紅白』に期待したい。
(文=編集部)