今年も、大みそかの一大イベントである『NHK紅白歌合戦』が近づいてきた。先日発表された特別ゲストとともに、気になるのがゲスト審査員の顔ぶれだ。今年のメンバーは、以下の通りである。
井上尚弥(プロボクサー)
上沼恵美子(司会者)
サンドウィッチマン(お笑いコンビ)
渋野日向子(女子プロゴルファー)
瀬戸大也(水泳選手)
田中圭(俳優)
戸田恵梨香(女優)
中西麻耶(パラリンピック陸上競技選手)
長谷川博己(俳優)
広瀬すず(女優)
吉野彰(ノーベル化学賞受賞者)
『紅白』出場歌手の選考基準には「世論の支持」「今年の活躍」「今年の番組演出」などのポイントが挙げられるが、それは審査員にも当てはまる。加えて、審査員にはいくつかの“枠”が存在する。ここからは、その枠ごとに年別の審査員の顔ぶれを見ていこう。
スポーツ&五輪枠
まず、外せないのが日本を代表するアスリートの枠だ。特にオリンピックイヤーとその前年は五輪枠が設けられ、メダリストを筆頭に注目選手が審査員を務める。今年は東京オリンピック&パラリンピックを来年に控えるなか、渋野日向子、井上尚弥、瀬戸大也、中西麻耶が選ばれた。
この4人の選出により今年も不在となったのが「プロ野球」と「大相撲」の枠だ。昭和の時代はプロ野球選手か力士が必ず審査員席に座っていたが、球界では大谷翔平(2016年・当時日本ハムファイターズ)が、角界では日馬富士(12年・当時横綱)が最後となっている。
【過去10年(09~18年)のスポーツ枠および五輪枠】
・プロ野球…原辰徳、田中将大(2回)、大谷翔平
・大相撲…横綱白鵬、大関琴奨菊、横綱日馬富士
・サッカー…佐々木則夫、澤穂希、長谷部誠
・ボクシング…村田諒太
・テニス…杉山愛
・フィギュアスケート…高橋大輔、鈴木明子、羽生結弦
・スピードスケート…小平奈緒
・レスリング…吉田沙保里、伊調馨
・水泳…入江陵介、荻野公介、池江璃花子
・重量挙げ…三宅宏美
・体操…村上茉愛
・パラリンピック陸上競技…重本沙絵
なお、東京五輪開催決定イヤーの13年には「お・も・て・な・し」の滝川クリステルも招かれている。
お笑い枠
ここ数年、ほぼ選出されているのが「お笑い枠」だ。かつて芸人といえば「応援ゲスト」が定番であり、落語界の重鎮席だけが設けられていたが、14年にタモリ(応援ゲスト&総合司会経験者)が審査員となって以降、近年は「潜在視聴率が高い」芸人枠も定着しつつある。
芸人の“立ち位置”を上昇させた最大の功労者・ビートたけし(過去に氷川きよしの応援ゲストを務めた)は今年、特別企画にゲスト出演し「浅草キッド」を歌うことが発表されている。今年のNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』に出演していたこともあり、歌手として選出された。
【過去10年(09~18年)のお笑い枠】
・所ジョージ(15年)
・又吉直樹(15年)※芥川賞受賞作家
・春風亭昇太(16年)
・出川哲朗(18年)
大河枠
毎年、必ず用意されるのが「大河枠」だ。いずれも主演俳優やヒロイン、重要な役どころを担う俳優をゲストとして招き、視聴率アップに結びつけている。「今年と翌年」の両方の出演者が顔を揃えることもあるのが特徴だ。また、審査員のみならず司会者としての起用も少なくない。
来年の大河ドラマは明智光秀の生涯を描いた『麒麟がくる』だが、審査員を務めるのは主演の長谷川博己だけ。本来であれば、事実上のヒロインを演じる沢尻エリカ被告が座る可能性もあったが、あえなく“幻”となってしまった。NHKとしては、代役の川口春奈を審査員に起用するわけにもいかなかったのだろう。
【過去10年(09~18年)の大河枠(当年および翌年の出演者)】
09年…阿部寛(天地人)、草刈民代(龍馬伝)
10年…寺島しのぶ(龍馬伝)、上野樹里(江~姫たちの戦国~)
11年…大竹しのぶ(江~姫たちの戦国~)、松山ケンイチ(平清盛)
12年…綾瀬はるか(八重の桜)
13年…岡田准一(軍師官兵衛)
14年…井上真央(花燃ゆ)
15年…堺雅人、長澤まさみ、大泉洋(真田丸)
16年…草刈正雄(真田丸)、春風亭昇太(おんな城主 直虎)
17年…鈴木亮平、林真理子(西郷どん)※林真理子は原作者
18年…中村勘九郎、阿部サダヲ(いだてん~東京オリムピック噺~)
このほか、『紅白』の審査員には「朝ドラ枠」「作家・画家枠」「歌舞伎・能・狂言枠」「将棋&囲碁枠」「ノーベル賞&勲章受章者枠」「評論家枠」「大物俳優枠」などもあり、最多は7回を務めた女優の森光子(司会も経験、NHK関係者を除く)だ。余談だが、個人的に思い出深いのは、ナリタブライアンが三冠馬となった1994年の騎乗ジョッキー・南井克巳(現調教師)である。
令和となって初めての『紅白』は、そんな審査員事情に注目してみるのもおもしろいのではないだろうか。
(文=大城孝行/芸能ライター)