「川田の春」は"幻"に終わってしまうのか――。
昨年の年度代表馬アーモンドアイの敗戦に揺れた、先週の安田記念(G1)。大金星を上げたインディチャンプと福永祐一騎手に称賛の声が集まる一方、またも「不利」に泣いたのがダノンプレミアムに騎乗していた川田将雅騎手だった。
「無事であってほしいのが第一です」
約9カ月の休養から復帰して2連勝。アーモンドアイとの現役最強馬決定戦に挑んだダノンプレミアムと川田騎手だったが、スタート直後にロジクライに寄られる痛恨の不利。
得意の先行に持ち込めない中、最後の直線ではライバル・アーモンドアイの進路を絞る厳しさを見せたが、そこで川田騎手が相棒の"異常"を察知......追う手を緩めて最下位16着でゴールすると、レース後には下馬するシーンもあった。
「JRAからの公式発表では『異常なし』と幸い大事には至りませんでしたが、川田騎手にとっては辛い決断になりました。レース後に川田騎手も『期待してくれた多くの方々に、申し訳ない』と話していましたし、人気馬としての責任を負った中、大事に至る前に緩めたのは英断だったと思いますよ。
ただ、それにしてもこの春は、川田騎手が不利を受けるシーンが非常に目立っている印象です」(競馬記者)
実際に、川田騎手は高松宮記念(アレスバローズ)、皐月賞(ヴェロックス)、NHKマイルC(ダノンチェイサー)、オークス(ダノンファンタジー)に続く、春G1・5度目の不利。戦前までは、数々の有力馬の騎乗が決まっていただけに「川田の春」になる期待もあったが、"花"が咲かないまま季節を終えようとしている。
「安田記念の不利は大きかったと思いますが、結果的にはそこからアーモンドアイをマークしたのが痛かったですね。上がり最速となる32.4秒の"鬼脚"を見せたアーモンドアイでも3着に敗れたように、あの展開に、あの位置取りでは、例えダノンプレミアムが万全であっても厳しかったと思います。
また、川田騎手は日本ダービーでのヴェロックスも『目標としていたサートゥルナーリアには逆転できたのですが......』と強敵を負かしに行っての3着。最も強い馬を負かしに行くのはセオリーではあるんですが、最善の騎乗を試みる中で運がないというか。どうも展開がかみ合っていない印象です」(別の記者)
ただ、競馬はあくまで「結果」がすべて。この春のG1で度重なっている不利に対し、川田騎手を擁護する声もある一方、今回の安田記念は仕方ないにしても「不利を受けるような位置にいるのが悪い」という厳しい意見もある。
今年ともに勝利率1位(100戦以上)を誇る「川田騎手×中内田厩舎」のコンビは、勝率42.5%という信頼度抜群の成績を残している。しかし、そんな"ゴールデン・ペア"もG1の舞台では6戦して全敗......。不利も多く、大事なレースで煮え湯を飲まされている印象だ。
「ゲートを出たところで邪魔をされてあの形に。それがすべてです」
安田記念後、そう悔しさを露わにした中内田調教師。一方、安田記念の前日には、期待の新馬リアアメリアが川田騎手とのコンビで8馬身差の圧勝劇を飾っており、早くも来年のクラシックの本命に躍り出た。
春G1の締めくくりとなる宝塚記念(G1)に、川田騎手は角居勝彦厩舎のキセキに騎乗予定。圧倒的な勝率を誇る"ゴールデン・ペア"の巻き返しは秋以降となりそうだ。
