■「みなし機」とは
パチンコ機・パチスロの機の有効期限は、検定後3年+認定後3年の最長6年となっているものの、資金的な問題でこまめに台の入れ替えができない中小ホールでは、同期限切れ後も遊技台の設置を続けるケースが少なくなくありませんでした。これが所謂「みなし機」と呼ばれているものです。
■「みなし機」の完全撤去が決議
この「みなし機」に関して、全国のホールが加盟している全日遊連(全日本遊技事業協同組合連合会)は、先月4月19日に実施された理事会で「みなし機」の年内完全撤去を決議したのです。
同決議内容はおおまかに以下の通り。
1.旧規則機の区分について
(1)改正規則の施行日前に検定・認定の有効期間が満了した遊技機
「A」比較的射幸性の低い遊技機
「B」上記の「A」以外の遊技機
(2)改正規則の施行日後に検定・認定の有効期間が満了する遊技機
「A」すでに検定・認定の有効期間が満了した遊技機
「B」今後、検定・認定の有効期間が満了する遊技機
2.旧規則機の取扱いについて
旧規則機の取扱いについては次のとおりとする。
【1】万が一設置していた場合、速やかに撤去する遊技機
→旧規則機の区分(1)の「B」及び(2)の「A」
【2】検定・認定の有効期間が満了するまでに撤去する遊技機
→旧規則機の区分(2)の[B]
【3】本年12月31日までに撤去する遊技機
→旧規則機の区分(1)の「A」
この決定を分かり易く解説すると、
今まで『北斗転生』など「高射幸性遊技機」は最長6年の有効期限が切れた時点で即撤去が原則でしたが、甘デジやAタイプなど射幸性が低い機種については「みなし機」として期限切れ後もホールへの設置が黙認されておりました。
しかし今後は、甘デジやAタイプも最長6年の有効期限が切れた時点で撤去しなければならないということ。
また、現在ホールに設置されている「みなし機(期限切れ台)」も、高射幸性遊技台に当てはまるものは即時撤去。それ以外の甘デジやAタイプも2019年度内にホールから完全撤去しなければならなくなったのです。
つまり、今まで"なあなあ"になってきた「みなし機」の問題について、全日遊連は明確に撤去の方針を示したのでした。
そんな、全日遊連の決定に大打撃を受ける事になったのが、甘デジや羽モノ、Aタイプなどの「みなし機」を設置し続けている中小ホールでしょう。
実際、地方の中小ホールでは、かなり古い羽根物が大量に稼動している光景をよく見かけますし、大手ホールではとうの昔に撤去された古いAタイプ機が未だ打てるホールも少なくありません。
これら「みなし機」を使い続けている中小ホールは、遊技台をこまめに入れられない懐事情から期限切れの古い機種を置き続けているケースがほとんど。
だからこそ、年末までに稼働中の「みなし機」を完全撤去しなければならない......という全日遊連の決定は、今まで「みなし機」を上手くやりくりして経営を維持してきた中小ホールにとっては、まさに死活問題なのでした。
現実問題、今回の決定で中古台の相場も高騰する事が確実。このため、現在も多数稼動している「みなし機」を年末までに撤去し、『検定機』または『認定機』と総入れ替えするには相当な資金が必要になる筈でしょう。当然、経営の厳しい中小ホールにそれだけの出費を賄える体力はないため、年末から年明けに掛けて全国で中小ホールの大量閉店ラッシュが巻き起こる可能性も!?
「みなし機」の完全撤去は、それだけ深刻な影響を及ぼす極めて重要な決定だったのです。
裏を返せば、全日遊連は中小ホールへの甚大な影響を承知の上で、パチンコ業界の健全化に向けて「みなし機」の一掃を決断したということ。これにより、懐かしの羽根物や甘デジを打てるのは今年一杯まで。是非とも年末まで打ち込んでみては如何でしょうか?
(文=喜多山)
