26日に行われる日本ダービー(G1、芝2400メートル)でニシノデイジー(牡3歳、美浦・高木登厩舎)はかなりの低評価が予想される。重賞2勝馬の巻き返しは不可能なのだろうか。
ニシノデイジーは2歳時に札幌2歳(G3、芝1800メートル)と東スポ杯2歳S(G3、芝1800メートル)で2つの重賞を制覇。一躍、3歳クラシックの有力候補になった。オーナーは西山茂行氏。ノーザンファームあるいは社台系の馬ではない競走馬の活躍は競馬界に刺激を与えてくれる。
祖母のニシノミライは父セイウンスカイ、母ニシノフラワーという血統。ともに西山ブランドでオールドファンには懐かしい名前だ。セイウンスカイは皐月賞(G1、芝2000メートル)と菊花賞(G1、芝3000メートル)を制した2冠馬。ニシノフラワーは桜花賞(G1、芝1600メートル)とスプリンターズS(G1、芝1200メートル)を優勝した名牝。ニシノデイジーのクラシック制覇に期待したファンも多かった。
ところが、昨年暮れのホープフルS(G1、芝2000メートル)でサートゥルナーリアの3着に敗れると、弥生賞(G2、芝2000メートル)では1番人気で4着に敗退。ここまではまだ巻き返そうな気配もあったが、クラシック第1弾の皐月賞では6番人気でブービーの17着に大敗してしまった。レース後の勝浦正樹騎手のコメントは「うまく乗れませんでしたね。向こう正面で内に入れたけど、そこで接触してハミをかんでしまって...」と言葉少なだった。
本サイトでは弥生賞直前に西山茂行オーナーへの独占取材を行っている。セイウンスカイとニシノフラワーの組み合わせからニシノデイジーが出てくれたことに対するオーナーブリーダーとしての執念や喜びなどを聞いた。また、勝浦騎手が当時今年未勝利だったにも関わらず継続騎乗させるのは人と人のつながりであり、ごく当然のことであるとも語ってくれた。古参オーナーだからこそできることだ。
注目すべきは春の大目標である皐月賞と日本ダービーに臨むにあたって「私はダービーの方が楽しみです。あの馬は『府中の方がいい競馬するだろうな』と思ってます。将来的には(府中の)秋の天皇賞(G1)やジャパンC(G1)で力を発揮する馬になるんじゃないかなという気はしますね」という言葉。
皐月賞の敗戦を想定しているかのようでもあり、日本ダービーでの激走を期待する発言だ。父はハービンジャー。代表産駒に昨年の日本ダービーで不利がありながら5着に惜敗したブラストワンピースがいるように、3歳春の府中コースで実力を発揮してくる種牡馬として定評がある。皐月賞の大敗で日本ダービーでの人気落ちは確実。ならば、日本ダービーで巻き返しての高配当を期待したくなる。
札幌2歳Sから日本ダービーに出走してくるのは2着ナイママ、3着クラージュゲリエ、4着エメラルファイト。クラージュゲリエは後に京都2歳S(G3、芝2000メートル)を勝ち、皐月賞では5着。エメラルファイトはスプリングS(G2、芝1800メートル)の覇者だ。東スポ杯2歳Sでは皐月賞2着、日本ダービーで上位人気となるヴェロックスを4着に下している。ニシノデイジーの実力侮るべからずである。
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本追い切りは美浦・南Pで5F67秒9-1F12秒4。騎乗した勝浦騎手は「距離延長はプラスだと思うし、今回は折り合いに専念して結果を出したい」とコメント。悔いのない騎乗をしてくれることだろう。
若干の懸念があるとすれば、弥生賞までの追い切りはパワフルな脚さばきと体の動きが連動して好印象だったが、皐月賞の追い切りからは首が高くなり、パワフルな脚さばきに対して体がリズムに乗れていないようにも見えること。日本ダービーで好走できなければ、たっぷりと休養して立て直す必要があるのかもしれない。

