26日に東京競馬場で開催される日本ダービー(G1)。今年は皐月賞(G1)を勝ったサートゥルナーリアが圧倒的な支持を集めているが、タイム差なしの3着だったダノンキングリー(牡3歳、美浦・萩原清厩舎)も十分に逆転が狙える逸材だ。
皐月賞では、アタマ+ハナ差の大接戦を演じたサートゥルナーリア、ヴェロックス、そしてダノンキングリー。2馬身離れた4着アドマイヤマーズがNHKマイルC(G1)を勝ったことで、ますます「3強」の強さが浮き彫りとなっている状況だ。
ただ、そんな3強の中で最も軽視されているのがダノンキングリー。否定的な報道の多くがサートゥルナーリア、ヴェロックスと比較して「2400mの距離」への不安を指摘している。
すでに2000mで勝ち星のある2頭に対して、ダノンキングリーは1800mが最長距離。マイルでも高いパフォーマンスを示しており、何より「血統面」でJBCスプリント(G1)を勝った兄ダノンレジェンドが強烈な印象を与えているようだ。
「ダートのスプリントで活躍した兄ダノンレジェンドの父はマッチョウノ。米国では一線級の中距離馬も多数輩出していますが、JRAでは13勝の内、マイル戦を1勝しているだけで、あとはすべて1400m以下。日本では、明らかに短距離種牡馬の扱いです。
それと比較してダノンキングリーは、ディープインパクト産駒。成功例の多いディープインパクト×ストームキャットは、先週のオークス(G1)を勝ったラヴズオンリーユーと同じですし、血統面からの距離の不安はそこまで大きくないと思いますね」(競馬記者)
過去の日本ダービーを遡っても、昨年のワグネリアンや一昨年のレイデオロが3000mの菊花賞(G1)を回避しているように、ダービー以降は2000m級で活躍している馬は多い。
また、2008年の覇者ディープスカイや2007年のダービー馬ウオッカなどは、後にマイル路線で好成績を残した。2014年の2着イスラボニータも高いマイル適性を持っており「2400m」という額面ほど、距離を気にしなくていいのが近年のダービーの傾向でもある。
「しかし皐月賞のレース後、戸崎圭太騎手の『道中、一生懸命になりすぎる所があった』というコメントは、やはり気になりますね。戸崎騎手は一方で『我慢が利いていた』と話していましたが、それは『1000m通過が59.1秒の締まったペースだったから』という見方もできます。
その皐月賞でペースを作ったランスオブプラーナやクリノガウディー、ダディーズマインドなどは揃って不在。青葉賞を逃げ切ったリオンリオンが引っ張る展開が予想されていますが、どこまでペースが上がってくれるかは疑問ですね」(同)
また別の記者曰く、ダノンキングリーの皐月賞は戸崎騎手が「ほぼ完璧に乗った結果」という。
実際に『競馬ラボ』で連載している『週刊 戸崎圭太』でも、戸崎騎手本人が「全体的にベストを尽くせたレースかなとは思っています」と語っている通り、皐月賞では2枠4番の好枠を活かした卒のない立ち回り。
勝負所で外を回ったサートゥルナーリアやヴェロックスと比較しても、決して小さくはないアドバンテージがあった。
「皐月賞のレースぶりからも『3強』の座は揺るがないと思います。ただ、逆にサートゥルナーリアとヴェロックスを『如何にして負かすのか』という点では、共同通信杯(G3)勝ちがある東京へのコース替わりに期待したいところです。
戸崎騎手を始めとした陣営も『東京向き』と語っていますし、この馬の武器であるキレ味で一気に差し切りたいところ。逆に皐月賞のような地力勝負になると、逆転は難しいかもしれません」(別の記者)
2月の共同通信杯では上がり3ハロン32.9秒の"鬼脚"で、2歳王者アドマイヤマーズを並ぶ間もなくかわし切った。あの時のキレを再び発揮できるか。府中の長い直線で末脚全開へ――。
「道中、一生懸命にはなっていたので、その辺、どうにかもっと落ち着かせることが出来たんじゃないか」と反省点を挙げていた主戦・戸崎騎手による「道中の運び方」が大きなカギを握りそうだ。

