秋の華やかなG1開催の裏開催となる福島競馬。その福島競馬場では恒例のハンデ重賞、福島記念(G3 芝2,000m)が行われる。2007年には3連複12万円オーバーという高額配当も飛び出している同レース。出走馬の取捨選択には頭を悩ませそうだ。
さて今年の出走メンバーはどうだろうか? 過去10年で6回も馬券に絡んでいる3歳馬は、残念なことに今年は登録がないようだ。それでもフルゲート16頭のところ24頭の特別登録があり、大混戦必死、馬券検討は難解窮まる。
まず、1番人気になりそうな函館記念勝ち馬のエアアンセム(7歳牡 栗東・吉村圭司厩舎) 前走のオールカマーに引き続き田辺騎手が手綱を握ることになるようだ。前走のオールカマーはG1馬レイデオロ、アルアインなど一流馬の出走もあって4着と惜敗したものの、同馬は右回り、左回り厭わずコース不問型の馬で、28戦して14回馬券に絡んでいることからも、同メンバーなら重賞初勝利の可能性は高い。好走必死だろう。
次に、サーブルオール(5歳牡 美浦・萩原清厩舎) 前走は福島記念と同じ2,000mの七夕賞で1番人気に支持されながらも4着に終わった。前走の敗因ははっきりしていないが、本調子でなく上滑りするような馬場状態や展開もあって結果を出せなかったと陣営は語っている。エリザベス女王杯の裏開催にも関わらず、戸崎騎手がサーブルオール騎乗を選択したのも陣営としてはこ心強いところだ。
続いて、スティッフェリオ(4歳牡 栗東・音無秀孝厩舎) 昨年のセントライト記念で4着、今年の札幌記念では5着と着実に重賞レース勝利に向けて前進している同馬は、サラブレットが完成してくるという4歳秋を迎えた。1週前追い切りでは、ウッドチップを入れ替えたため以前より時計がかかるようになった栗東坂路を「51.5 - 38.1 - 25.4 - 13.1」とかなりの好時計をマークしている。重賞載冠に向け調子もすこぶる良いようだ。
スティッフェリオは今回、再び丸山元気騎手とのコンビとなる。28歳となった丸山元気騎手。もっぱら、そのルックスからUMAJOに人気で成績以外で何かと話題の彼だが、今年は例年と比べると、50勝・複勝率.270と大躍進を遂げている。それもそのはず、デビュー2年目には92勝、3年目に72勝と、美浦所属期待の若手ジョッキーとクローズアップされていた才能の持ち主であり、改めて競馬に対する熱意を持った証だろう。スティッフェリオと丸山元気騎手との上向き調子タッグなら、今回、あっさり勝ってもおかしくないだろう。
そして、3歳時にはダービーで4着したマイスタイル(4歳牡 栗東・昆貢厩舎)も充実の4歳秋を迎えた。今年は自己条件戦から出直し、確実に勝ち上がりオープンクラス入りした。春の新潟大賞典では0.4秒差の6着と健闘。札幌記念ではいいところがなかったが、福島記念と同じコースで行われた4月の福島民報杯では持ち前の先行力でクビ差の2着しており、脚質的にも福島競馬場の2,000mは合うはず。
注目馬として、ドレッドノータス(5歳騸 栗東・矢作芳人厩舎)を推す。前走は中山1600万下のレインボーSに出走。7番人気ながら石橋騎手の好判断から逃げをうち、見事勝利した。同馬は気性難から出世が遅れたが、母は仔出しのいいことでも知られるオークス3着・重賞3勝馬のディアデラノビア。 ドレッドノータスは前走の勝利を期に確変しても不思議ではない血統馬である。
前走のレース後、鞍上の石橋騎手からは「この馬向きの馬場コンディションでした。逃げる競馬に慣れてはいませんでしたが、戸惑うことなく良いリズムで走れましたし、直線向いてさらに突き放したのですから強かった。3馬身差もつけての勝利ですから単に展開がハマったという訳ではないと感じています。ひと皮向けるのではと感じるほどの走りを見せてくれたのでこれからがさらに楽しみです」と、同馬の一変ぶりに感心していた。
ゴール前登り坂のある中山競馬場と福島競馬場。似通ったコースなら3歳時以来の重賞挑戦だが、再度の好走も十分にありうる。今回は落馬負傷療養中の石橋騎手から国分優作騎手に乗り替わりとなるが、騎手人気も無い分、配当妙味はありそうだ。
その他、同じコースの七夕賞を勝利しているメドウラーク(7歳牡 栗東・橋田満厩舎)、中山記念で3着している逃げ馬マルターズアポジー(6歳牡 美浦・堀井雅広厩舎)、金子真人氏のディープインパクト産駒レトロロック(6歳牡 栗東・中竹和也厩舎)、期待のホープ・荻野極騎手が鞍上のG1レース常連の古豪、サトノノブレス(8歳牡 栗東・池江泰寿厩舎)などにも注意が必要だ。
伝統のハンデ重賞、第54回福島記念。大混戦模様を制するのはどの馬か? 馬券妙味たっぷりの同レース。高配当?をゲットし、G1戦線の資金を蓄えておきたいところだ。